2005年~09年に発表された研究論文の伸び率で日本が最下位になった(23日付け読売新聞)。学術出版大手のエルゼビア(本社オランダ)が、欧米、アジアの21カ国を対象に調べた。ほとんどの国で論文数が伸びているのに、日本は年平均増加率がマイナス3.48%だったという。

日本ではノーベル賞の受賞が続いているため、「まだまだ大丈夫」という安心感もあるが、受賞者のほとんどは相当高齢の研究者であり、若者に関してはゆとり教育の弊害や海外を回避する傾向などの将来の懸念材料も指摘されている。

今回の調査によると、論文数では米国が230万でトップ。ついで中国が106万。3位が英国で61万。日本は4位で56万だったが、直後にドイツが55万で続く。英国は日本の人口の半分、ドイツが約3分の2であることを考えると、やはり56万という数は少ないと見るべきだろう。

日本がもう一段の発展を目指すなら、研究開発・技術開発への投資は欠かせない。その意味で、大学や企業の研究開発を後押しするような政策(研究予算の積み上げや研究開発に関する優遇税制など)が必要だろう。(村)

ちなみに、中国は論文数の増加率で1位となった。主張が激しく、曲げない中国は、こうして数多く論文を出すことによって、自国の主張を世界に浸透させようとしているのだろう。だが、論文の質をみる尺度として用いられている「ほかの論文に引用された件数」においては、1位のスイスが7.28であるのに対し、中国は1.72とかなり少ない(下位5位以内)ことから、質や他国からの信用度はまだ低いと思われる。(吉)

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