内閣府は8日、2015年の10~12月期の実質国内総生産(GDP)が年率1.1%のマイナスになったことを発表した。景気の低迷が続いている。
特に、個人消費が低調で、前期比で実質0.9%のマイナスとなった。これは、2014年4月以降の消費増税や、円安誘導に伴う輸入品の物価が上昇などが原因と考えられる。
安倍政権は円安へと誘導して株価を上げようとしているが、日本はすでに「輸出立国」を卒業しているため、GDPの成長にはつながらない。今の日本のGDPで大部分を占めるのは内需だ。
消費増税で20兆円がパーに!?
個人消費がGDPの6割を占めているため、消費増税をおこなえば、消費意欲が冷え込み、GDPが下がるのは当然だ。
2012年末には約517兆円だったGDPは、アベノミクスが始まって、14年3月には約535兆円に達していた。だが、14年4月に消費税が8%に引き上げられると、7~9月期には約14兆円も減少した。その後もGDPは成長せず、15年7~9月期のGDPは約530兆円だった。
経済学者の高橋洋一氏の試算によると、仮に消費増税をしていなければ、GDPは今頃、約550兆円まで達していたという(「週刊現代」2016年2月27日号)。
ポイントは「お金の回転率」
政府は、日銀の量的緩和やマイナス金利政策など、「お金の流通量」を増やすことで景気回復を目指している。だが、経済を活発にするためには、「お金の回転率」も重要だ。
お金が1年間で回転する量が増えるほど、GDPは増えていく。
つまり、銀行が企業にお金を貸出し、そのお金で企業が商売し、消費者が商品やサービスを買う。儲けた企業は従業員に給料を支払い、従業員は銀行に預金する。それがまた、別の企業への貸し出しに回る……というように、お金が回転することで、経済が発展し、GDPが増えていく。
13回転が4回転へと大激減
だが近年、日本のお金の回転率は落ちている。バブル期には、お金1単位が1年間の間に約13回転していると言われていたが、現在は約4回転しかしていない。
これは、例えば、企業が銀行から1億円のお金を借りて、その資金を元手に商品を作って、売り、その売り上げを元に、また商品を作って売る、ということを繰り返すとする。このサイクルを、バブル期には年に13回、回せたが、今は4回しか回せないということだ。
このお金の回転速度を弱めているのが、「消費税」だ。前述したとおり、日本経済の6割が個人消費で成り立っている。消費税は、お金が流通する場所に多くのハードル(障害)を置くようなものだ。
ハードルの数が多ければ多いほど、資金の回転率は落ちてくる。その意味で、消費税にはGDPを減らす効果がある。
政府は、経済の低迷を受け、2017年4月に予定されている消費増税の延期を検討しているとの報道もある。
だが、それでは足りない。政府は、消費減税を行うべきだ。お金の回転率を下げる消費税や規制の撤廃などを行うことが、GDP増大のカギとなる。
(山本泉)
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