2016年2月号記事
編集長コラム 特別版 Monthly Column
GDP3倍増の"大風呂敷"は可能なのか?
安倍政権がGDP(国内総生産)600兆円という目標を掲げるなか、
本誌編集長・綾織次郎著『GDPを1500兆円にする方法』がこのほど発刊された。
著者とハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)経営成功学部の鈴木真実哉氏が対談し、GDP3倍増という"大風呂敷"の実現性について語った。
綾織編集長(以下、綾) : GDP1500兆円と聞くと、「そんなことできるわけがない」という印象があると思います。
鈴木氏(以下、鈴) : 日本は25年間、経済成長をしていないので、確かに夢のような話です。ただ、成長率5%なら25年で1500兆円になります。日本は高度成長時代、10%成長だったので、ふつうならたどり着く数字です。
綾 : アメリカのGDPも1990年前後から20数年間で3倍になりました。
鈴 : 日本独自の理由で経済成長しなかったので、原因を取り除けばまた成長します。
人間は弱い存在ではない
綾 : 本書の構成は、ステップ1として、アベノミクスの3本目の矢でやろうとした規制緩和やその他の自由化をしっかりやりましょう、ということ。ステップ2は、安倍政権では手をつけていない社会保障の大改革。ステップ3は、「資本主義が終わった」と言われる時代に、「新しい資本主義」の時代を開こうということです。
ステップ1の結論では、イギリスのサッチャー元首相が自由化を進めるにあたって、「心と魂の変革が大事なんだ」と訴え、国民の自助努力の精神を鼓舞したことに触れています。安倍政権はそれができなかったので、3本目の矢が実行できませんでした。
鈴 : 経済繁栄の第一歩は教育です。国民一人ひとりに最低限の読み書きそろばん、企業家精神や倫理観を教えると、おのずから自助努力型の人になります。
アベノミクスは"どこかの政党"の政策をパクッたんじゃないですか。でも、表面的にパクっても精神まではパクれなかった。政治や経済には思想的なバックボーンが要るということです。
綾 : 「魂の変革」という訴えは、「人間は神の子であって、地上の人生で智慧を得て、神様に少しでも近づく」という価値観を含んでいます。
鈴 : 神様は人間をそんな弱い存在として創っていないということです。 現在、各国がこれだけ社会保障を充実させているのは、「人間は弱いものだ」という前提があるからです。政府が最初から最後まで国民の面倒を見ている。だから90年以降、日本は成長していないんですよね。
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