中国軍が北朝鮮の羅先(日本海に面する経済特区)に駐留し始めたことを各紙が報じている。それによると、

羅先に進駐した中国軍の規模は不明。約50台の装甲車、戦車が入ったらしい。

施設の警備や中国人保護が目的とみられる。

羅先には羅津港があり、中国企業が10年間の使用権を獲得し、インフラ整備中。ゆくゆくは海軍基地として利用したい模様。

日経新聞は、金田秀昭・岡崎研究所理事の話として、「中国は自国艦船の利用をも念頭に、インド洋に面した各国で港湾建設など『真珠の首飾り』と呼ばれる海洋戦略を進めている。今回の羅先の拠点かもその延長上と見るべきだろう」と述べている。 そのうえで、中国は、欧州から北極海を経て日本海に至るルートを開拓しようとしていると指摘した。

「真珠の首飾り」戦略とは、中国がインド洋沿岸の各国を援助して港湾施設を築いていることをさす。中国が援助した港湾は、パキスタン西端のグワダル、スリランカ南端のハンバントータ、バングラデシュのチッタゴン、ミャンマーのココ諸島(すでに軍事施設)などがある。 太平洋では、中国がインドネシアのパプア州で港湾投資を計画していることが明らかになった。 そして、今回、羅先への軍事駐留。中国は、中東からインド洋、南シナ海、太平洋、日本海と、海の覇権を確立しようとしている。

一方でこんな見方もある。アーミテージ&ジョセフ・ナイ&春原剛著『日米同盟 vs.中国・北朝鮮』(文春新書)には、こうある。

アーミテージ「中国は北朝鮮北部の朝鮮民族との関係を強化しているということです。もし、何らかの変化が北朝鮮国内で起こった場合、中国が北朝鮮北部を統制下に置けるように、と。いわゆる不測の事態に備えているわけですね。だから、中国は北朝鮮北部に駐屯する北朝鮮軍やその周辺に住んでいる住民や民間の指導者たちとの交流を深めているのです」

中国軍の羅先駐留は、北朝鮮有事対応でもある。(織)

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