2010 年は情報管理の話題に事欠かない1年だった。日本では尖閣漁船事件のビデオが海上保安庁から流出し国民的な注目を集め、秋のAPEC前には警視庁からテロ対策の機密情報が漏えいし、問題となった。アメリカでも機密情報暴露サイト・ウィキリークスから、国務省の公電が流出し問題となった。民主主義に不可欠の情報公開の原理と、国家機密の折り合いをいかにつけるかという微妙な問題である。

13日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルでは、リバーマン、コリンズの両米上院議員が、政府機関の情報管理のあり方について提言している。両氏は、2007年に軍事部門と諜報部門について義務付けられた、情報共有ネットワークでの不正なダウンロードを監視するシステムを他の機関にも広げるべきと論じている。またもう一つの論点は、機密情報を閲覧できる範囲を、当該業務の関係者に限定するようなシステムを導入すべきという点である。

「この情報は誰が知っているべきか」という観点は情報管理の要諦であり、いかなる組織であれその円滑な運用に関わる問いでもある。それは組織のマネジメントに関わる問題であるからして、お役所的な杓子定規で答えが出せるわけでもないだろう。政府機関の運営と、国という組織の運営という、双方にとっての重い問いである。 21世紀が突きつける情報管理と民主主義の問題は、今後大いに議論がなされるものと思われる。

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