本誌ではこれまで、中国がユネスコに提出した「南京大虐殺」と「従軍慰安婦」に関する資料の記憶遺産申請を追ってきた。今回は、その次に、韓国が「従軍慰安婦」関連資料の記憶遺産登録を目指していることに注意を喚起したい。

本年5月の韓国紙では、元慰安婦たちが共同生活を送る「ナヌムの家」周辺に展示館などの関連施設を備え、追悼公園として整備する事業が開始されたことを報じていた。(聯合ニュース日本語版 2015年5月12日付)

「記憶遺産」と「世界遺産」は、言葉が似ているので紛らわしいが、この二つには性質の違いがある。

「記憶遺産」は、歴史的に貴重な文書や書物、絵画や楽譜、映画などで保全すべきものを対象とする。「世界遺産」は、「世界遺産条約」に従って普遍的な価値を持つと認定された建造物や自然地域などを対象としている。

韓国は、中国の記憶遺産申請に便乗しようとしている。

これはユネスコの名を借りての反日運動を、世界に広げるための試みなのだ。

この両者のつながりを十分に認識していないためか、日本政府の動きは鈍い。しかし、その両者が連動した時の相乗効果を考えれば、日本は今の段階で、明確に、慰安婦の強制連行もなく、南京大虐殺もなかったという歴史的事実を主張しなければならない。

自虐談話撤回は必須である

ただ、日本はこれまで、「慰安婦の強制連行」を事実上認めた河野談話や「侵略」へのお詫びを行った村山談話が足かせになり、政府として公式に意見を主張できなかった。14日に発表予定の「安倍談話」の内容が、今後の日本政府の動きに大きく影響を与えることになる。

10日のNHKは、安倍談話の原案に、村山談話のキーワードとなる「お詫び」や「侵略」「痛烈な反省」「植民地支配」という表現が全て盛り込まれていると報道した。以前、安倍首相が、「文言を使うかどうかではなく、安倍政権としてどう考えているかという観点から談話を出したい」と述べたことを踏まえたとしている。

また同日付産経新聞は、「侵略」という表現には、日本の行為に限らない形で言及する方向で、今年4月のバンドン会議で安倍首相自身の演説を参考にすると報じている。談話の内容は公明党の意見なども踏まえ、最終調整が続いているようだが、直近の安保法案成立に向けた駆け引きの一環となっているとみられる。

もう、嘘に塗り固められた談話は必要ない。戦後70年の今年に談話を出すのであれば、英霊の誇りを貶めたりすることのない、歴史的事実に基づいた文言とすることを求めたい。(遠/晴)

【関連書籍】

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幸福の科学出版 『従軍慰安婦問題と南京大虐殺は本当か?――左翼の源流 vs. E.ケイシ―・リーディング』 大川隆法著

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2015年9月号記事 「問題がある」とユネスコが判断 - 「南京」「慰安婦」資料が最終審議で焦点に - The Liberty Opinion 1

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2015年8月号記事 これが「南京大虐殺」ねつ造資料のすべてだ 中国による「不正登録」を阻止せよ - ユネスコ記憶遺産 - 戦後70年 日本の誇りを取り戻そう

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