米兵を相手に慰安婦をしていたとする韓国人女性122人が、韓国政府を提訴していた問題で、初公判が19日、ソウル地裁で行われた。政府側の弁護人は、「違法行為を立証できていない」と述べ、原告の訴えに真っ向から反論した。

事の発端は、1950年代から70年代にかけて、米軍基地周辺に位置する「基地村」で、米軍の慰安婦として従事した女性が、今年6月に韓国政府を相手取り、ひとり当たり1万ドルの損害賠償を求めたことによる。政府を訴えた理由は、当時の朴正煕大統領が、売春行為を「外貨を稼ぐ愛国者」として奨励した上に、性病を予防するために、診療所を整備するなど、「積極的な関与」があったためだ。

一方の政府側の弁護人は、原告の主張を否定。「国家賠償の成立には、122人それぞれが、個別公務員担当者の具体的な行為などを立証する必要がある」とし、警察の黙認や保健所職員の強制検査と監禁などは、違法行為に当たることを証明すべきだとした。

韓国政府は米軍慰安婦を奨励

しかし、この対応は明らかに、従軍慰安婦問題で対日批判を続ける姿勢とは、矛盾していると言わざるを得ない。さすがに韓国側も、それには気づいているようで、同国の「ハンギョレ」紙は、「米軍慰安婦、私たちは日本右翼の妄言に堂々と答えられるか」(8月21日付電子版)という見出しで、ユ・スンフィ議員のインタビュー記事を掲載。ユ氏と言えば、昨年の国政調査で、朴元大統領が「基地村」に関与していた事実を突き止め、国会で初めて米軍慰安婦問題を取り上げた人物だ。

同記事の中で、ユ氏は、「かなり多くの女性が、人身売買や就業詐欺被害に遭って基地村に入って行った。(中略)そこから脱出しようとする女性を救うべき警察は、抱え主と癒着して責任を放棄した」と語っている。

また、米軍慰安婦が、1990年代より「基地村女性」と呼ばれたのは、日本の慰安婦問題と区別するためであったと指摘。「国会に『日本軍慰安婦及び戦時下での女性性売買関連小委員会』があり、私が米軍慰安婦問題にまで拡大して扱ってはどうかと提案している」という。

本誌・本欄で繰り返し述べているが、日本の従軍慰安婦問題には、一切の一次資料による証拠はなく、韓国側の「ウソ」が判明している。当時の日本は、女性を誘拐していた違法業者を取り締っていた事実もある。その点、国策として慰安婦を奨励していた米軍慰安婦問題とは、性格が大きく異なる。だが、韓国政府は現在、被害者に損害賠償や謝罪をする意思はないようだ。

韓国政府は、歴史を直視し、米軍慰安婦の解決に努力すべきだ。もちろん、ウソの歴史観に依拠する反日外交もやめるべきである。(山本慧)

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