文部科学省が27日、「全国学力・学習状況調査」の結果を発表した。この調査は国公私立の全小中学生が対象。調査は毎年行われているが、全員を対象とした調査は07年以降、4年ぶり。

この調査では、全国の小学6年生に国語・算数、中学3年生に国語・数学の基礎問題と応用問題を解かせた。成績上位になったのは秋田県や福井県で、前回調査でも上位だった。逆に下位の沖縄や北海道、大阪なども、全国平均との開きが縮まっており、大きく改善された県もあるなど、学力の底上げが見受けられる。

各教育委員会は学力調査の全員実施を踏まえ、学力向上のための取り組みを行ってきた。たとえば山口県では授業のうまい教職員を「先生の先生」に認定し、授業を公開。高知県では、全県をあげて放課後の補習を始め、その実施率は7,8割にのぼる。両県とも、小6の平均正答率が、2007年と比較して大幅に伸びるという実績があがっている。能力の高い教員の活用や、生徒の自主学習の促進、学習時間の伸びを促したことが、今回の結果改善の要因だろう。

全国学力調査は昭和30年代に始まったが、日教組による反対運動で全員調査が行われなくなった。2007年に当時の自民党政権が全員調査を復活したものの、市町村の結果は公表されないという条件だった。その後、日教組の応援を受けて樹立した民主党が政権を取ると、2010年には再び学力テストを抽出方式へと変えた。2012年に自民党政権に戻り、また全員調査を行うこととなった。

学力テストの全員実施について28日付朝日新聞では「点取りを目的とするな」と題し、こう批判している。

「何が学力に影響しているか、そして、どんな施策が有効かも、この調査では語らない。これまでの調査経費は350億円以上。『無駄遣い』との声がでるのも当然だろう」

つまり、「抽出方式で十分だ」と訴えているわけだ。しかし、学力テストは結局、それぞれの学校や教師のレベルを明らかにするものである。各都道府県や教師に学力向上のための対策を促すことにつながり、教育改革における効果は大きい。

そもそも、塾や予備校では教育の実績を公表することは当然のことだ。抽出方式にすれば、全体の傾向しかわからなくなってしまうため、各学校や自治体の実態を隠すことになるだろう。

下村博文文部科学相は、来年度以降も全員を対象に学力テストを行う意向を示している。今後も学力テストの全員実施を続け、市町村レベル、学校レベルの結果も公表できるようにしていくことが望ましい。公教育の実態を白日の下にさらすことを通じて、教師の指導力向上を推進していくべきだろう。(晴)

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