頭の体操を一つ。もし、米FRB議長が日銀総裁になったら、きっと徹底的な金融緩和でデフレ脱却を目指すに違いない。金融危機以降、積極的な量的緩和を行ってきたFRBは、最近でも雇用が回復するまで住宅ローン債権を買い続けるとしており、景気の下支えに熱心だ。

対する日銀の白川方明総裁は、「金融政策ではデフレを脱却できない」という珍妙な言い訳を並べて、デフレ対策を怠ってきた。長期不況を克服できない日本経済の苦境を思えば、外国人就任に匹敵するような大胆な方針転換が必要だろう。

ちなみに日銀法には、総裁が日本人でなければならないという規定はない。また世界では、中央銀行総裁に外国人を迎えるというのも、ありえる話なのだ。

イギリス政府はこのほど、新しい中央銀行総裁にカナダ人のマーク・カーニー氏を充てることを発表した。カーニー氏は、現カナダ中央銀行総裁。イギリスは今回、候補を公募形式で募集し、幅広く実力ある人材を集めようと試みた。その結果、外国人が就任するという異例の人事が決まった。

英フィナンシャル・タイムズ紙コラムニストのデイビッド・ピリング氏は、29日の紙面で以下のように書いている。

  • 外国人の就任は考えがたいにせよ、日銀の通説に染まっていない外部人材が入る可能性がある。
  • 自民党の安倍総裁が訴えているインフレ目標などは、イギリスなどでも行われている政策であり、おかしな話ではない。ここ15年間のインフレ率が2%ほどだったら、日本経済は名目で現在より40%大きくなっていたはずだ。そうすれば、財政問題も深刻でなかっただろうし、税収も上がり、今よりも安い円相場で輸出が伸びたはずだ。
  • また、1997年に日銀が大蔵省からの独立性を獲得した時、デフレ克服のために政府と日銀の協調が必要であった。しかし、身動きが取れない大蔵省と独立した中央銀行は、お門違いのインフレ対策をやってしまった。安倍氏は不可能を可能にするよう、取り組めるかもしれない。

景気回復の足を引っ張っているデフレの問題を解決することが、日本経済の急務である。その意味で、日銀の「常識」は世界の非常識であり、幸福実現党などが訴えている大胆な金融緩和こそ真っ当な政策なのだ。いまこそデフレを脱却し、日本経済を健全な成長軌道に戻すべきである。

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