韓国の李明博大統領は10日午後、竹島を訪問。日韓関係の悪化が避けられない見通しとなった。

竹島は日本と韓国がともに領有権を主張している。李大統領は10日、鬱陵島から飛び立ち、午後2時ごろ竹島に降り立った。1948年の大韓民国政府の樹立以来、現職大統領の竹島訪問は初めてである。

竹島の歴史を簡単に振り返ると、日本は江戸時代から竹島を漁業基地として利用していた。1905年、日本政府は竹島の領土編入を決定し、島根県に帰属すると告示した。サンフランシスコ講和条約でも放棄する領土には含まれていない。一方、韓国はサンフランシスコ講和条約発効前の1952年、「李承晩ライン」を設けて竹島を韓国領となし、「独島」と名づけた。53年からは武力要員を常駐させ、灯台などを建設し、現在に至るまで実効支配を続けている。

今の時期に李大統領が竹島を訪問する理由として、日本による植民地支配からの解放記念日に当たる光復節(8月15日)目前の竹島訪問で、対日強硬姿勢を示し、求心力回復を図る狙いがあると見られる。韓国は来年2月に次期政権がスタートするため、李政権は現在レームダック(死に体)化を止められずにいる。7月には李大統領の実兄や側近が汚職で逮捕され、8月には支持率が17%まで下がった。

韓国は現在、竹島を領有する国際法的根拠は持たないため、日本側が国際司法裁判所へ持ち込めば決着させることができる。だが、韓国政府は領土問題の存在自体を認めていないため、提訴を拒否している。

歴史からも自明のように、竹島は本来日本の領土だ。それを韓国にむざむざ実効支配されているのは、1954年に自衛隊が発足するまで日本が防衛力を持たず、日本を守るはずのアメリカも動かなかったことが大きい。すでに韓国による実効支配が50年以上も続いている今、日本が実力行使で取り返そうとすれば戦争になりかねない。

竹島問題の今後は予断を許さないが、少なくとも日本は竹島を反省の材料とし、尖閣諸島など、他国による侵略的意図が疑われる日本の領土については実効支配を強め、日本の正当性を国際社会に発信し続けなければならない。(居)

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