「道州制」の導入が、ここに来て現実味を帯びて来ている。橋下徹・大阪市長を代表とする「大阪維新の会」が、すでに道州制の実現を政策として掲げており、12日には、自民党がまとめた「道州制基本法案」の原案が判明している。

次期衆院選での政界進出の方針を明らかにしている維新の会。政界再編への起爆剤になりつつあるその維新の会と、政権返り咲きを狙う自民党が、共通の道州制の政策を掲げたことで、道州制が衆院選後の新政権の目玉政策となる可能性が濃くなってきた。

しかし、拙速に事を進めては、後で取り返しのつかないことにもなりかねない。

道州制とは、都道府県を廃止し、広域の「道」や「州」に再編した上で、そこに一定の財源と権限を移譲する制度だ。

本誌や幸福実現党が「道州制反対」を掲げる大きな理由がある。それは国防上の観点だ。

東日本大震災や沖縄の普天間基地移転問題を見れば分かる。ともに「地方主権でやってください」では何も解決しない。

現に民主党政権下では普天間問題は沖縄に配慮するあまり暗礁に乗り上げ、日米関係をすこぶる悪くした。東日本大震災の復興も、地方だけではどうにもならない。国が積極的に支援しなければ、がれき処理さえ進まないのだ。

歴史を振り返っても、日本の治世の成功体験は、あくまで中央集権政治であり、国防上も強いリーダーシップを発揮してきた。

飛鳥時代の隋に対する聖徳太子の治世。元寇に対する鎌倉幕府。そして明治時代の、列強に対する天皇を中心とする明治新政府。

これらの歴史が道州制の危うさを証明している。それでも敢えて道州制に踏み切るというなら、幕末期のような混沌だけが待っているかもしれない。(憲)

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