開祖の「悟り」が文明を創る ─キリスト教、イスラム教、仏教、幸福の科学 - 編集長コラム

開祖の「悟り」が文明を創る ─キリスト教、イスラム教、仏教、幸福の科学 - 編集長コラム

写真提供:ピクスタ

 

2020年4月号記事

 

編集長コラム Monthly  Column

 

開祖の「悟り」が文明を創る

―─キリスト教、イスラム教、仏教、幸福の科学

 

 近現代では、「宗教の下では不自由な社会になる」という「常識」がある。

 キリスト教社会は中世の宗教弾圧の反省から、政教分離して信教の自由やその他の自由を確保してきた。もともとイエス・キリストが「地上の王」にはならず、「心の王国」を守ることを説いたので、現代もその教え通りに展開している。

 宗教を社会生活から遠ざけるために、キリスト教社会は近代啓蒙思想を生んだが、その後、唯物論化し、共産主義思想をつくり出した。

 

 

宗教を遠ざける現代

 一方、イスラム教は本来、他教徒に寛容な宗教だったが、20世紀初頭、欧米に植民地支配された反動でムハンマド時代に回帰する原理主義が台頭。イスラムの戒律で政治・経済・生活を縛る国が広がった。「地上の王」として国を治めたムハンマドの政教一致の考え方が、現代に復活した状態だ。

 仏教はというと、昔も今も「自由」な宗教だ。イエスと同じで「地上の王(転輪聖王)」にならず、「心の王国」を守ることを説いたが、他宗教に寛容で、中国の唐や日本の奈良・平安時代に仏教精神の下、繁栄国家を築いた。ただ、今は社会的影響が小さくなっている。

 総じて宗教を遠ざける現代、幸福の科学が登場し、日本有数の宗教となった。全世界100カ国以上に信者を持ち、世界宗教化に向けて前進している。

 キリスト教もイスラム教も仏教も、開祖の「悟り」からその後の社会や文明が生み出された。

 幸福の科学は将来、キリスト教やイスラム教のように「不自由」な社会をつくり出すのか否か。幸福の科学の開祖、大川隆法総裁の「悟り」について触れられた経典をもとに考え方を整理したい。

 

 

 

「大悟」と学問との関係

 大川総裁の「悟り」はどういう内容だろうか。釈尊と比較すると分かりやすい。釈尊は肉親への情などの執着を去り、肉体的・この世的束縛から自由になった(大悟)。霊的世界に参入できるようになり、過去世・現世・未来世の三世を見通し、運命を善転させる智慧を得た。

 大川総裁の「大悟」は大学卒業直前だった。「認められたい」など青年期特有の執着を去り、自身の心を100%支配することで未来を拓いていけることを発見。人の心は変えられないが、自分の心は自由になる。その結果、純粋で澄んだ心になり、霊的存在が本来の自分だと実体験したという。

 釈尊と同じような「悟り」だが、異なるのは「大悟」の前段階で学問や思想・哲学が深く関わっていることだ。近代啓蒙時代以降の学問や思想は「宗教の代替物」になってきたが、大川総裁はこれを吸収し、一つひとつ乗り越えてきた。大川総裁の学問遍歴を振り返ってみたい。

 

(1)西田哲学との対峙

 大川総裁は大学時代、社会学者のマックス・ウェーバーの著作を本格的に読むようになり、「諸学に通じる道」を発見。そして、「諸学問を統合する」という志を立てたという。

 その途上で哲学者・西田幾多郎の仏教哲学と対峙した。西田は人生の辛苦を通じて偉大な哲学者となった。望むような教職には就けず、家族と次々死別。運命を呪うような境遇の中、自身の哲学を紡ぎ出した。

 主著『善の研究』で「善なる生き方」を明らかにした。「竹は竹、松は松と各自その天賦を充分に発揮するように、人間が人間の天性自然を発揮するのが人間の善である」と述べている。

 西田は「愛」や「知」「反省(自覚)」といった概念を掘り下げながら、人間は神仏の一部として神性・仏性を発揮しながら自己実現することが幸福だと強調。運命を受け入れつつ、積極的に生きる道を探究した。

 大川総裁は学生時代、環境決定論者、運命決定論者的な面もあったという。西田哲学と対決する中で、心の向きを変え、自由になる範囲で自分のできることを積み重ね、運命を乗り越えられると発見したとみられる。地上で善なる生き方をすれば、死後、天国に還ることができ、「この世とあの世を貫く幸福」を享受できる。

 これは、後に大川総裁が教えとして説く「正しき心の探究」であり、その具体化である「愛・知・反省・発展」の「四正道」につながるものだ。西田は地上ユートピアを創る「発展」の教えにあたる部分までは語っておらず、西田哲学を超えるかたちで幸福の科学の基本教義が形成されていった。

 

(ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ〔HSU〕の人間幸福学にあたる分野では、「人間の幸福とは何か」を学問的に研究している)

 

 

(2)ハイデガー哲学を超えて

 大川総裁は「大悟」の3カ月前、20世紀最大の哲学者と言われるハイデガーの実存主義と対決した。

 ハイデガーは、「人間は偶然にこの世に投げ出された存在で、運命の中で浮き沈みしているが、自分を未来の可能性に向けて賭けのように『投企』していかなければならない」と説いた。ナチス・ドイツの全体主義支配の渦中に投げ出され、主体的な意志で人生を選べない苦悩を語ったものでもあったとされる。

 大川総裁は、社会や国が崩壊する運命の波を乗り切れるのかを考え抜き、やはり、「心のコントロール」にカギがあると見抜いたという。大川総裁はこれより前の大学2年のとき、ハイデガーの弟子のアレントの政治哲学を読み解き、論文にまとめていた。

 アレントは、霊的世界と交流し神仏から導きを受ける「観照」、そうした目覚めた人たちが政治参加する「活動」を重視した。それぞれの価値観を認めながらリーダーたちが議論し、未来を選び取る「自由の創設」を理想の政治だとした。アレントはアメリカ独立革命を高く評価。今で言えば、信仰心が篤く自己犠牲的なキリスト教徒が中心的に活動する香港の民主化デモも「自由の創設」と言えるだろう。

 大川総裁はハイデガーとアレントの哲学を通じ、信仰心や自己犠牲の精神にもとづいて社会や国の未来を拓く道を見出した。欲望を煽って衣食住の充実の要求を貫き通すマルクス主義的な革命とは正反対のものだ。

 ハイデガーの実存主義哲学を乗り越えたことが、大川総裁の「大悟」の一つの土台となった。

 

(HSUの未来創造学の一部を構成する「新しい政治学」であり、幸福実現党の政治哲学でもある)

 

 

(3)清貧思想の影響を脱する

 大川総裁は「大悟」の後、商社に勤め、在家修行を続けた。その仕事を通じ、富や豊かさ、繁栄についての「悟り」を深める時代に入った。

 大川総裁は10代のころ、「お金を持つことは罪悪」と考えるキリスト教的な清貧の思想や共産主義思想を緩やかに持っていた父親の影響を受けていたという。

 しかし大学時代、二宮尊徳やベンジャミン・フランクリンの思想を学び、父親の影響を脱し始めていた。尊徳らは「不利な条件・環境にあっても、いま与えられているものの中でできることはないか」と考え、行動する人たちだ。

 出勤前に英国産業革命期の繁栄を生み出したサミュエル・スマイルズの『自助論』を読み、「今は何者でもなくても、志を持ち、勤勉に努力し、創意工夫し続ければ、大きな成功が可能になる」という思想を熏習した。

 富や豊かさへの道においても「心のコントロール」が重要で、大川総裁はお金の使い方や人の生かし方など事業感覚を身につけ、清貧の思想の影響から抜け出した。

 

(HSUの経営成功学に関係。既存の学問で言えばドラッカー経営学なども含む)

 

画像:LandesarchivBaden-Württenberg

 

大川総裁の「大悟」の土台となった学問や経験

1 西田幾多郎の仏教哲学⇒後に説かれる「愛・知・反省・発展」の教え(人間幸福学)

2 ハイデガーの実存主義哲学⇒「自由からの未来創造」の政治哲学(未来創造学、幸福実現党)

3 清貧の思想の影響⇒自助努力を中心とする成功論へ(経営成功学)

 

 

(4)共産主義への価値判断

 共産主義は国際政治の問題でもある。大川総裁は大学時代、国際政治学も掘り下げて学んでいた。しかし東大の教授は「資本主義対社会主義」の冷戦の価値判断をせず、「パワー・バランスがとれ、戦争が起こらなければいい」と語るだけだった。

 大川総裁は商社でのニューヨーク勤務を経験し、貿易や金融の実務的観点から国際政治の本質や「世界の経営」が見えてきたという。

 マルクスが構築した共産主義思想のポイントは以下の通りだ。

「あの世も神もないので(唯物論)、全員がこの世で救われるべきだ。お金持ちはズルをして稼いだから(嫉妬)、奪い返さないといけない(暴力革命)。みなが平等になるまで続ける(階級闘争)」

 尊徳やフランクリン、スマイルズらの資本主義の精神はまったく逆で、こう啓蒙した。

「あの世も神仏も存在する(霊的人生観)。神仏の導きを受けて成功者は勤勉に努力したのだからそれに学び(祝福)、自分もお客さんが喜ぶものをつくろう(与える愛)。成功できたなら他の人に分け与えよう(騎士道精神、三福の精神)」

 大川総裁は、個人も国家も心の態度によって繁栄する未来を拓いていけると考えた。そして、マルクスの『共産党宣言』を葬り去り、共産主義の国を終わらせていくべきだと結論づけた。

 約6年の商社勤務を経て宗教家として立つというとき、大川総裁は悪魔の総攻撃を受けた。「もっと成功してから40代で宗教を開いたほうがいい」という誘惑だったが、その迷いを退けて独立し、幸福の科学を立ち上げた。これが大川総裁の「降魔成道」だった(*)。

(*)釈尊は「降魔成道」「大悟」「出家」が同時期だったのに対し、大川総裁は「大悟」後、在家修行を続け、「降魔成道」し「出家」した。

 

 

(5)宗教戦争を収めるには

 現在の国際政治は、中国の覇権主義をどう抑えるかと、キリスト教国とイスラム教国の対立・戦争をどう収めるかの二つの難問がある。後者の一神教同士の国の対立は憎しみの連鎖が続き、解決の糸口が見出せない。

 大川総裁は出家後、幸福の科学の基本経典『太陽の法』『黄金の法』『永遠の法』を著した。ここでは、「至高神の下で神々、大天使・大如来、天使・菩薩、さまざまな人たちが魂修行をしながら地上ユートピアを創ろうとしている」という霊的価値観・歴史観・世界観を明らかにした。人類は宗教や民族、国を超えて魂修行をしている。他の宗教を排斥する理由がなくなり、「寛容さ」を取り戻すことができる。

 前出の三つの経典(基本三法)は、天上界からの霊的啓示で一気に書き下ろされたもの。それまで中東の宗教対立の問題を解決する思想は地上にはなかった。

 その背景には在家時代に収録された数多くの霊言の存在がある。イエス、大天使ミカエル、ユダヤ教のモーセなどの霊言を通じ、各宗教の奥にある霊界知識が蓄積されていた。キリスト教もイスラム教もユダヤ教も至高神の愛から生まれており、根源にあるものは一つであることが明らかになっていた。

 基本三法が人類の宗教的な共通基盤になれば、一神教同士の憎しみから自由になれる。互いを理解し、許し合う「心のコントロール」によって宗教融和の道を拓いていける。

 

(HSUの未来創造学の一部としての「新しい国際政治学」と関係。共産主義の支配と宗教戦争を終わらせ、世界平和の実現を目指す。幸福実現党の理想でもある。また、HSU未来創造学部は「政治・ジャーナリズム」「芸能・クリエーター」両コースがあり、地上ユートピアを創るための実現力や感化力、影響力を学ぶ)

 

大川総裁の「降魔成道」の土台となった学問など

4 価値判断しない国際政治学⇒共産主義の支配を終わらせる使命(未来創造学、幸福実現党)

5 キリスト教とイスラム教の対立⇒『太陽の法』『黄金の法』『永遠の法』が明らかにした霊的価値観(未来創造学、幸福実現党)

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「自由」な未来社会を創る世界宗教の出現

 

 

「自由の哲学」が未来を創る

 近現代は、「宗教が不自由な社会をつくる」という「常識」がある。キリスト教社会がつくり出したものだが、それがこれからも続いていくのかどうか。新しい世界宗教が出現すれば、そうではない未来社会はあり得る。

「心のコントロール(正しき心の探究)」によって人生の運命を拓く。社会や国の運命も転換する。貧しい境遇に生まれても豊かさ・繁栄への道を拓ける。宗教同士の憎しみを解き、共存する。

 もちろん簡単なことではない。一人ひとりの境遇、社会や国を変革する難しさ、旧い宗教の縛りを乗り越えるには、何十年、何百年という努力が要る。

 人類として、「選択の自由」「創造の自由」をどこまで発揮できるか、ということでもある。その時々に「愛・知・反省・発展」の方向で選択と創造を繰り返し、新しい縁起(原因・結果)をつくり出すことで、キリスト教文明と異なる「自由」な新文明が築かれる。

 今年も3月23日、「大悟」記念日を迎える。本欄では、大川総裁の「悟り」はごく一部しか説明できない。「宇宙の法」が説かれ始めるなど、次々と新たな「悟り」が開かれている。開祖の「悟り」と「自由の哲学」が未来社会を創る。

(綾織次郎)

 

(HSUは人間幸福、経営成功、未来創造各学部のほか、未来産業学部がある。文明の進化を目指し、霊界・宇宙の解明も含む未来科学・技術を研究する)

 

(参考経典)『若き日のエル・カンターレ』/『日蓮聖人の霊言 「大悟」を見守った者の証言』/『新しき大学の理念』/『政治哲学の原点』/『西田幾多郎の「善の研究」と幸福の科学の基本教学「幸福の原理」を対比する』/『超訳霊言ハイデガー「今」を語る』/『「経営成功学」とは何か』/『幸福実現党宣言』ほか

 

『太陽の法』

『太陽の法』

大川隆法著

幸福の科学出版

『黄金の法』

『黄金の法』

大川隆法著

幸福の科学出版

『永遠の法

『永遠の法』

大川隆法著

幸福の科学出版

 

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