写真:Ryan Rodrick Beiler / Shutterstock.com

《本記事のポイント》

  • 11日に発表されるノーベル平和賞は、若手が受賞する可能性がある
  • 香港民主活動家や、ウイグルの人権活動家も有力候補になっている
  • 平和賞をきっかけに、「正義のある平和」が広がることを期待したい

11日(日本時間同日18時頃)に発表される「ノーベル平和賞」の行方に注目が集まっている。今年は、民主活動家や気候変動の活動家などが有力候補と見られている。

名前が挙がっているのは、まず、リビアの若手女性活動家のハジャ・シャリーフ氏。日本での知名度は低いが、内戦によって国内が分裂しているリビアで、民主化や人権、男女平等の実現を目指す非営利組織を立ち上げ、平和活動に従事している人物である。

2人目は、ソマリアのイルワド・エルマン氏。ソマリアの有名な人権活動家である父親の影響を受け、エルマン氏は、女性に対する性的暴力をなくすために、さまざまな活動に尽力。2016年、「アフリカ若者賞」を受賞した。

3人目は、地球温暖化問題で有名となったスウェーデンのグレタ・トゥーンベリ氏だ。彼女は昨夏、学校を休んで温暖化対策を促す運動を展開し、一躍有名となった。地球温暖化について、本誌編集部の主張は、同氏のそれとは異なるが、ここでは深く立ち入らないことにする(詳細は、「 プーチン大統領がスウェーデンの環境少女に苦言 二酸化炭素は悪者なのか 」)。

さらに、2014年の香港民主化デモ「雨傘運動」を主導した羅冠聡(ら・かんそう)氏も、本命視されている。同氏は、民主化団体「デモシスト」の共同創設者の一人であり、16年に立法会議員に当選したものの、翌年、議員資格をはく奪された。現在も、民主化運動に参画している。まさに、"旬な活動家"といえる。

今年は多くの若者がノミネートされているため、「若手が受賞するのではないか」という期待感があり、平和賞への注目度も高まっている。

ウイグルの人権活動家も候補に

このほかノミネートされているのは、中国で無期懲役の判決を受け、服役中のウイグル族学者のイリハム・トフティ氏である。

同氏は、ウイグルの人権を擁護し、民族間での経済格差の是正などを訴えたことで、2014年に「国家分裂罪」に問われ、有罪となった。

これに対し、対中強硬派の米国会議員13人らが同氏を推薦している。受賞となれば当然、中国政府は黙っていられないだろう。

「正義のある平和」を広げよう

これまでノーベル平和賞は、政治的公平性の欠如など、さまざまな方面から批判されてきた。だが、日本としては、中国の民主活動に携わる人物が受賞すれば、中国包囲網の構築に追い風となり、面白い流れができるだろう。

全体主義の脅威から人類の自由を守る人物こそが、ノーベル平和賞の受賞者としてふさわしいのではないか。「正義のある平和」が世界に広がることを望みたい。

(山本慧)

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