「香港の民衆の声こそが神の声」 香港カトリック教会神父が語るデモ活動の今(後編)

 

「民主的な普通選挙の実施」など「5大要求の実現」を求めてデモが続く香港。現地では、警察がデモ隊に対して催涙ガスを浴びせたり放水したりしているほか、民主活動家が次々に逮捕され、「警察の暴力によって死者が出た」という告発まで相次いでいます。

 

そんな中、数多くのキリスト教会の信者がデモ活動に参加しており、キリスト教会はデモ活動を陰ながら支援しています。避難してきた活動家を受け入れている、あるカトリック教会の神父に話を伺いました。今回は「香港の民衆の声こそが神の声」と題して後編をお送りします。

(聞き手 幸福の科学国際本部 諸岡由憲)

 

◆      ◆      ◆

 

──この抗議運動の中で、キリスト教は何か役割を果たせると思いますか?

神父: もちろんです。私たちは日々集い、祈り、教会内を清め、そして神の正義と自由の実現、そして人間の尊厳のために力を尽くします。香港のすべてのクリスチャンが一つの家族として結集すれば100万人の力になります。これが私たちの役割です。

 

今の香港には民主主義がありません。もし民主主義であれば、私たちは政府を運営する人を投票で選ぶことができるはずで、プロテスターたちはそれを要求しています。行政長官やすべての立法会議員を普通選挙で選べるようにすることが、この抗議運動の最終目標です。日本と同じように。

 

──神は民主主義を望んでいると思いますか?

神父: そうです。民衆の声こそが神の声でもあるからです。しかし、その声を政府はまったく聞き入れません。行政長官や立法会議員の普通選挙は、本来2017年から実施される約束だったのに、中国共産党政府は私たちのその権利を取り消しました。そして、共産党員を使って選挙をコントロールしています。

 

もし香港人に自由と民主主義を与えたら、北京政府にとって重大な脅威になると考えているのです。もし、中国本土の人々が香港をモデルにして後に続いたりしたら、共産党政権は転覆してしまうでしょう。それは彼らにとってはあってはならないことです。だから、北京政府は香港を別な意味でのモデルにしようとしています。「もし共産党に歯向かえば香港のようになるぞ」という見せしめです。

 

しかし、今は、中国共産党政府も香港に手出しはできません。香港が自由貿易港かつ国際的な金融都市であることを利用して、北京政府の高官や本土の富裕層はここで資金洗浄を行っているからです。本土の政治指導者がいったいどれだけの財産をスイス銀行やバンク・オブ・アメリカに蓄えていると思いますか? 天文学的な数字です。さらに彼らの家族はアメリカやカナダの市民権まで持っています。

 

──アメリカ議会が香港人権民主主義法を成立させれば、そうした政治家の資産の凍結も可能になります。

神父: そうです。最後は、中国共産党政府vs.全世界の戦いになるかもしれません。全世界は私たちの家族です。もっとも愛に基づく家族というよりは、政治的なパワーバランスに基づく家族ですが。

 

──カトリック教会組織のお互いの結束というのはあるのでしょうか?

神父: 信仰や精神面においてはつながっていますが、資金面や政治的な考えについては、それぞれ独立し、自治に任されています。バチカンやローマ法王も今のところ香港問題については何も発言していません。もちろん祈りの支援はいただいていると思いますが。

 

──抗議活動の継続には資金的な支援がかかせないと思いますが。

神父: 多くの香港市民が支援しています。ヘルメットも防毒マスクも高価なものではありません。四、五千円ですよ。どんな家族でも支援できます。

 

香港の人々がどんなふうにしてデモに参加する学生たちを守っているか、よく見てください。例えば、大量の地下鉄乗車券を買ってあげています。ICカードを使うと足がついてしまうので、彼らは使えません。だから乗車券を束で購入し、誰でも使えるように駅に置いていくのです。マクドナルドのクーポン券を配る人もいます。レストランでプロテスターを見かければ、無償で食事や飲み物を振る舞ってあげる人もいます。

 

この教会でも、催涙ガスや放水を浴びたプロテスターたちが着替えられるように、信者たちが古着を集めています。新しく買った服もあります。人々はいろいろな形で寛大にプロテスターたちを応援しています。

 

私の印象ですが、本土からの移民や共産主義者を除いた、人口の80%以上の香港人がプロテスターたちを支援していると思います。だから抗議活動が長く継続されているのです。

 

プロテスターの中には銀行やIT企業に勤めている職業人もいます。彼らは教育レベルも高く、高収入を得ています。こうした人々と学生たちが共通の(インターネット上の)プラットフォームで話し合い、共に抗議活動を行っているのです。

 

若者たちの中に、卓越したリーダーがいるわけではありません。指示を出す司令官はいないのです。そうではなく、一人ひとりの良心を共通のプラットフォームとして話し合い、それぞれが自分の良心に基づき正しいと思った行動をとっています。

 

一方で、政府や警察側は、個々バラバラな小グループに分かれ、こうした共通のプラットフォームを持っていません。

 

香港人一人ひとりが自分の良心に基づいて行動し、その結果、このような大きな抗議運動が起こり、それが長く継続されていて、しかもその中心を担っているのは20代の若者なのです。これは歴史的にも画期的な社会運動だと思います。他の国もここから多くの教訓を学ぶことができるのではないでしょうか。

 

──そこは本土の中国人とずいぶん違いますね。それは香港が長い間キリスト教の影響下で発展してきたからでしょうか?

神父: そうです。ごらんなさい。平日はとても平和です。人々は仕事に行き、学校に行き、家事を行い、普通の市民生活を営んでいます。週末になると、集まって抗議をしたり、歌を歌ったりして、まだ抗議活動は終わっておらず、未来のために戦い続けなければならないことを思い出すのです。さあ、10月1日に何が起こるか見ていなさい。

 

──何が起こると思いますか?

神父: 分かりません。私はただ教会の扉を開けておくだけです。教会の信者の中には弁護士もいれば、医者や医療スタッフもいます。プロテスターたちをサポートする準備はできています。起こるべきことは起こり、そして過ぎ去っていきます。神は助けてくださるでしょう。私は教会の扉を開け、できることをするだけです。(了)

 

【関連記事】

2019年9月23日付本欄 「神は正義と共にある」 香港カトリック教会神父が語るデモ活動の今(前編)

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2019年9月18日付本欄 「中国も民主化すべき時」: 香港の民主派弁護士アルバート・ホー氏インタビュー

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2019年9月18日付本欄 香港政党「香港衆志(デモシスト)」副主席が語る 香港デモの未来と日本への期待

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