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《本記事のポイント》

  • 前日銀副総裁の岩田氏「デフレ脱却が遠のいたのは、消費増税の影響」
  • 産経の田村氏「政財界とメディアは増税容認の空気に支配されている」
  • 元内閣官房参与の藤井氏「消費税は、消費に対する罰金として機能する」

10月に実施予定の消費税10%への引き上げをめぐり、岩田規久男・前日銀副総裁と、藤井聡・元内閣官房参与の呼びかけに応じた、増税のリスクを懸念する有識者26人のコメントが、8日発表された。本欄では、コメントの一部を紹介する。

前日銀副総裁の岩田規久男氏

「デフレ脱却が遠のいたのは、14年度の消費増税により消費が低迷し続けているためである。その低迷し続ける消費を19年10月にさらに消費増税により弱体化させれば、デフレ脱却は不可能になる。いま、政府がすべきことは、緩和的な財政金融政策により、さらに人手不足経済を加速させ、賃金を引き上げて、人々の所得を増やし、それによって、消費を活性化させ、経済を外需に依存しない、内需主導型成長軌道に乗せることである。財政再建はその結果として達成されるものである」

上武大学ビジネス情報学部教授の田中秀臣氏

「今回の消費増税もまた、若者たちの雇用状況を悪化させることで、再び『失われた世代』を生み出してしまうことを懸念します。日本の将来のためにもこの増税リスクはぜひ避けるべきです」

産経新聞特別記者の田村秀男氏

「政財界とメディアは消費増税容認の『空気』に支配されている。(中略)消費増税がデフレ圧力を招き、日本経済再生を困難にし、政府債務を増やしてきたデータを無視する。それこそ日本自滅の道だ」

元内閣官房参与の藤井聡氏

「消費税は、経済成長のメインエンジンである『消費』に対する『罰金』として機能する。その結果、デフレ圧力を生み出し、経済成長率を下落させる。結果、内需企業の業績は悪化し、物価は下落し、国民は貧困化し格差は拡大する。そして挙句に財政を悪化させる。そして、財政悪化を目の当たりにした財政当局はさらに緊縮的態度を硬直的に加速させ、さらなる増税や支出カットを誘発する」

増税延期の可能性も

消費増税は、日本経済をけん引する個人消費に冷や水を浴びせ、日本経済を不況に突き落とす。平成元年に導入された消費税が、「失われた30年」をつくった主因でもある。

増税をめぐっては、自民党の萩生田光一幹事長代行が「次の6月の日銀の全国企業短期経済観測調査(短観)をよく見て、これは本当にこの先危ないぞというところが見えてきたら、崖に向かってみんなを連れて行くわけにはいかないので、そこはまた違う展開がある」と述べ、増税の延期の可能性を示している。

だが、凍結ではなく、むしろ消費税や法人税などの大胆な「減税」によって、消費活動を刺激すれば、高い経済成長率を遂げ、政府の財政も同時に改善することができる。消費税で失敗した平成の教訓から学び、令和の時代では、減税路線へと舵を切り、国民一人ひとりの豊かな生活を実現すべきではないか。

(山本慧)

【関連サイト】

消費税増税の「リスク」に関する有識者会議~合理的な判断を支援するインフォームドコンセントのために~

http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/190507-2

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