中国が仕掛ける第二の「アヘン戦争」 薬物大国に先進国の資格はあるか

中国が仕掛ける第二の「アヘン戦争」 薬物大国に先進国の資格はあるか

 

《本記事のポイント》

  • 中国の合成オピオイドが、世界中で中毒者をつくっている
  • 習近平氏は対策を打つとしたが、期待はできない
  • 軍事拡張や技術盗用に加えて、世界をむしばむ「中国発」に注意すべき

 

中国が仕掛ける"アヘン戦争"が、諸国をむしばんでいる。

 

現在、世界中で「合成オピオイド中毒」が問題となっている。合成オピオイドとは、モルヒネやフェンタニルなどに代表される鎮静剤の一種だが、鎮痛効果が高い一方で依存性も高い。特にフェンタニルは、モルヒネの50~100倍ほどの強力な鎮静効果を持ち、過剰摂取で死亡するケースが多発している。

 

アメリカ全土では、すでに200万人のオピオイド中毒者がいると見られ、2015年、2016年と続いて3万人超の死者が出ている。両親がオピオイド中毒に陥って子供が児童養護施設に入らざるを得ないケースも増え、地方財政を圧迫。「米経済諮問委員会(CEA)」が2017年に公表した報告書によると、2015年にオピオイド乱用によって生じた経済コストは最大5040億ドル(約57兆円)に上り、国内総生産(GDP)の2.8%に相当するという。

 

トランプ氏が昨年10月に「公衆衛生の非常事態」を宣言するほど、深刻な状況だ。

 

被害はアメリカに留まらない。カナダ政府の発表によると、オピオイドの乱用によって4000人近くの人が昨年亡くなったという。2016年からの累計では8000人に達する。アフリカでも、オピオイド系のトラマドールが安価な鎮痛剤として使用されているが、ヘロインと同じような効果を得られる薬物として、医療外での使用が増加している。

 

 

原産最大手の中国

世界中に中毒者を生みだしているオピオイド。その原産国の"最大手"が中国だ。

 

米議会の超党派諮問機関である「米中経済安全保障再考委員会(USCC)」は11月、中国が「違法フェンタニルとフェンタニル類似物質のアメリカでの最大の供給源」だと報告した。普通郵便を使ってアメリカに持ちこまれるケースや、メキシコの密売人を経由してアメリカに入ってくるケースが報告されている。カナダ政府も、国内に流入しているオピオイドの多くが、中国南部の工場で生産されていることを掴んでいる。

 

実は中国は、全世界の化学品売上高の3分の1を占める、医薬品原料の最大輸出国。製薬や化学産業の基盤があることに加えて、規制が緩いことから、合法的にオピオイドが製造され、アメリカなどに密輸されているという。

 

 

先進国とは言い難い実情

こうした現状を改善するため、トランプ氏は、11月末から行われたG20後の米中首脳会談で習近平国家主席に対策を求めた。習氏はこれに応じ、フェンタニルの密売を最も重大な犯罪の1つとして位置付けると約束。密売を許している法の抜け穴を防ぐことに合意した。

 

しかし、2015年にも中国政府は薬品製造の規制対象を強化したものの、薬物の構造を少し変えただけで規制を潜り抜けることができるため、ほとんど効果はなかった。今回も、習氏による形だけのパフォーマンスになるのではないかと危惧されている。習氏にとっては、自国に外貨をもたらし得る「金の卵」とも言えるオピオイドだ。わざわざ根絶させることは期待しづらい。

 

まるで、約180年前に起こったアヘン戦争への復讐のように見えなくもないが、薬物輸出の最大手というのは、国家として恥じるべきことだ。少なくとも、先進国とは言い難い。軍事拡張や技術盗用に限らず、世界をむしばむ「中国発」を、見過ごしてはならない。

(片岡眞有子)

 

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タグ: 中国  アヘン戦争  合成オピオイド  中毒  鎮静剤  密売  習近平  

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