《本記事のポイント》
- 年賀状など「信書」の配達サービスは、事実上、日本郵便が独占
- 土曜配達の廃止も検討中だが、規制緩和による民間参入が解決のカギ
- 競争原理を働かせ、顧客ニーズに合ったより良いサービスを
平成最後の年賀状の配達受け付けも始まり、さまざまな年末年始の準備に追われている人も多いだろう。この時期になると、毎年盛んに報道されるのが、郵便局員に課せられる「年賀状の販売ノルマ」だ。
局員や契約職員に枚数が割り当てられ、達成できない局員が、自腹で買い取り金券ショップなどに売る「自爆営業」を行うなどの「告発」が話題となる。
日本郵便はこのほど、郵便局の年賀はがきの販売枚数目標となる「指標」を2019年分から廃止すると発表し、ノルマがなくなったとも報じられた。しかし、名前を変えただけで、ノルマは存在するという声も多い。
日本郵便が事実上独占している「信書」の取り扱い
だが、そもそも年賀はがきは、普通のはがきや手紙などと同様「信書」として扱われる。「信書」の配達に関しては、郵便法による取り決めが参入障壁となり、事実上、日本郵便の独占事業となっている。
さらに、「信書」の定義は非常にあいまいなため、トラブルも多く発生する。
ヤマト運輸が2015年3月にメール便サービスを廃止したのも、利用者が気づかずに「信書」を送ってしまい、違反となるケースが複数回発生したためだ。刑事罰は300万円以下罰金、あるいは3年以内の懲役と重く、実際に書類送検をされたケースもあった。
規制緩和で競争の原理を働かせて顧客サービスを
また、日本郵便は11月、普通郵便の土曜配達を取り止め、平日のみの「週5日制」にすることや、差し出しから原則3日以内とされている送達日数を4日以内に緩和することなどを総務省に要望している。
利用者に他の選択肢があるなら、日本郵便が方針を変更しても構わない。
しかし、手紙やはがきなどの「信書」を配達できるのは、事実上は日本郵便のみ。人手不足を主な理由としているが、顧客のニーズを無視した判断と言える。
土曜配達の取り止めなどを検討するなら、信書送付の規制緩和を行うことで、他社にも参入させ、利用者の選択肢を増やすべきだ。そうすれば、人手不足も解消できるだろう。
そもそも、株式会社である日本郵便が、郵便法などの法律に守られ続けていることが問題だ。規制緩和で民間の参入を容易にすれば、競争の原理が働いて、郵便サービスはよりよくなるだろう。
(駒井春香)
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