写真:アフロ

《本記事のポイント》

  • 希望の党が掲げる「原発ゼロ」は、票の確保のため
  • 小池氏のHPから「核装備」の記事が削除された
  • 日本経済への大きなダメージが予想される

総選挙を前に、政界に大波乱が起きている。民進党が事実上解党し、希望の党に合流するという。

民進党の前原誠司代表は28日の両院議員総会で、10月の衆院選では党の公認を一切出さず、希望者は小池百合子・東京都知事が代表を務める新党「希望の党」から立候補することを提案した。

小池氏は、「仲間として戦えるか、議員一人一人ずつ決めさせてもらう」と、憲法改正や安全保障への姿勢から、候補者を選別する考えだ。

原発ゼロは原発反対派の取り込みのため

希望の党が掲げる目玉政策の一つが、「原発ゼロ」。小池氏も原発ゼロに向けた2030年までの工程表づくりに意欲を見せている。

だが小池氏が「原発ゼロ」を掲げたのは、票欲しさである可能性が高い。

元々小池氏は、自然エネルギーを普及させ、原発への依存度を減らすべきという考えの持ち主。だが、東京都知事が東京電力の大株主であることもあり、東京都知事としては「安全性の確保が第一」と、原発の再稼働には反対してこなかった。

東京にも電力を供給する柏崎刈羽原発6・7号機が、来週にも再稼働の前提となる審査に合格する見通しだ。小池氏は、都知事として柏崎刈羽原発の再稼働に何とコメントするのだろうか。

小池氏は核装備に賛同していた

しかも小池氏は過去、「東京に核ミサイルを配備する」ことに賛同していたのだ。2003年の保守言論誌『Voice』3月号で、小池氏は西岡力氏らと鼎談し、こう指摘した。

「軍事上、外交上の判断において、核武装の選択肢は十分ありうるのですが、それを明言した国会議員は、西村真吾氏だけです。わずかでも核武装のニュアンスが漂うような発言をしただけで、安部晋三官房副長官(当時)も言論封殺に遭ってしまった。このあたりで、現実的議論ができるような国会にしないといけません。今の国会は時間とのせめぎ合いがほとんどで、労働組合の春闘と同じです(笑)」

小池氏の発言を受け、西岡氏も「日本がアメリカの核の傘に入ることを望むのであれば、核ミサイルを東京に持ってきてもらうのがベストです」と述べ、東京への核装備を提案した。

小池氏は、自身の公式サイトにこの鼎談を転載し、すべて公開していたが、現在は記事が削除されている。都合の悪いものには蓋というわけだ。

希望の党もいずれ解党する?

また「原発ゼロ」になれば企業活動は低下し、家庭の負担も増す。2011年の東日本大震災以降、全国の原発を止めたことで、2013年度は化石燃料の輸入に年間3.6兆円も余分に支出。輸入費用の増加額は、2011~2014年度の4年間で12.4兆円となった。環境保護を重視する小池氏だが、原発ゼロに伴う日本経済への大きなダメージについては、明言していない。

北朝鮮が核実験を繰り返し、ミサイルを何発も発射する中、いつ戦争状態になってもおかしくない。本当に国の安全保障に責任を持つ立場ならば、原発の再稼働を推進してエネルギー供給を確保し、核を含めた抑止力の強化に取り組むべきだろう。

希望の党は、「民進党の駆け込み寺」と揶揄されるほど寄せ集めの状態となりつつあるが、党として目指すビジョンはあいまいで、いずれ民進党と同じ運命をたどる可能性が高い。マスコミを上手に操って報道させる「劇場型政治」は、もう終わりにしよう。

(山本泉)

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