衆議院・国難突破解散、幸福実現党の「国難選挙」を後追い

衆議院・国難突破解散、幸福実現党の「国難選挙」を後追い

 

「国難」だと気付くのが、遅すぎたのではないか。

 

安倍晋三首相は25日、首相官邸で記者会見を行い、28日召集の臨時国会冒頭で衆議院を解散する意向だと表明した。安倍首相は、「この解散は『国難突破解散』であります。(中略)北朝鮮の脅威に対して国民の命と平和な暮らしを守り抜く」と語った。

 

 

2009年「核ミサイル阻止」を掲げた幸福党

国難突破解散――。かつて、これに似たフレーズを掲げて、選挙戦を戦った政党がある。民主党が政権を奪取した2009年の衆院選において、新たに立党した幸福実現党だ。

 

大川隆法・同党創始者兼総裁は、立党に際して、このように語っている。

 

今、必要とされているのは政権選択選挙などではありません。今回の選挙は『国難選挙』なのです」(『幸福維新』所収)

 

当時のマニフェストでも「この国を国難から救い 希望の未来に導きたい」という言葉が、大きな見出しになっている。

 

ここでいう「国難」とは何か。マニフェストでは、大川総裁のこんな言葉が引用されている。

 

既存の政党が卑怯だと思うのは、あれだけ、北朝鮮にミサイルを撃たれ、核実験をされているにもかかわらず、それを選挙の争点に挙げていないことです。それは、『そういう問題を争点にしたら、選挙において不利に働く』と考えるような保身があるからです

 

実際に同党はマニフェストで、「核ミサイル阻止」と大きく打ち出した。

 

当時としては、かなり"過激"に見られたことは否めない。2009年4月に北朝鮮が発射したミサイルが日本列島上空を通過した際、政府もマスコミもそれを「飛翔体」と呼び、"有事"として扱わない――。日本はそんな空気だった。

 

 

8年あればミサイル防衛はもっと万全に……

とはいえ、もし8年前に政府が本格的に「核ミサイル阻止」に動いていれば、日本人は今頃、もう少し枕を高くして寝られていただろう。

 

情勢がさらに緊迫してから、政府は迎撃ミサイルを搭載したイージス艦を4隻から、8隻に増やそうとしている。しかしそれには、2021年度まで待たなければならない。

 

さらに政府は今年、迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備を急ぎ始めた。しかし、このシステムは発注から配備まで5年もかかる。今から急いで2018年度から整備に向けて動き出したとしても、配備は最速で2023年度になるという。

 

政府の対応は完全に後手に回っている。北朝鮮のミサイルの危機が最高潮に達しているのは、2017年の今なのだ。安倍首相は、「万全な対応」をアピールするが、それならばイージス・システムの増強を急ぐ必要はないだろう。

 

日本の政治家が「国難」を認識するのが、あまりにも遅すぎた。

 

 

国難において敢えて「内戦」を始める危険性

安倍政権は今、ようやく「国難」を認識し、国民に呼びかけた。しかしながら、その対応には、疑問を抱かざるを得ない。

 

衆院選というのは、国家が分裂して、激しい舌戦を繰り広げる一種の「内戦」だ。北朝鮮が今にも暴発しかねない今というタイミングを「国難」と呼ぶなら、なぜわざわざ「内戦」を始めるのだろうか。

 

兵法において、相手国の勢力同士を戦わせて力を弱め、消耗したところに一気に攻め込むというのは常套手段だ。欧米諸国がアフリカなどを植民地化する時は、この兵法がとられた。

 

明治維新においても、坂本龍馬などの志士が大政奉還を目指し、勝海舟と西郷隆盛が「江戸無血開城」を実現したのも、「西洋列強国が日本に攻め入る隙を与えないためにも、国内で戦争をしている場合ではない」と考えたからだ。

 

この「内戦状態」を、なぜ安倍政権は自分からつくりだそうとするのだろうか。

 

中心の争点が「国防強化」であるなら、百歩譲ってまだ許されるかもしれない。明治維新における争いも、「国防」が争点だった。

 

しかし、安倍首相が掲げた争点の中心は、「消費増税で得た税収を、幼児教育無償化などに振り向ける」というもの。憲法9条改正についても、事実上の現状維持である「加憲」案に後退してしまった。北朝鮮に対しても「圧力をかける」という、漠然としたものに留まっている。防衛体制は、結局前進しそうにない。

 

 

さらに争点を撹乱する小池・希望

そんな中、さらに選挙の争点を撹乱する勢力が「内乱」に参入してきた。

 

小池百合子都知事は25日、安倍首相が衆院解散の意向を表明した数時間前の記者会見で、国政政党の新党「希望の党」を立ち上げ、代表に就任すると発表した。

 

希望の党の主要政策を見ても、「安全保障」「国防」への問題意識は特に感じられない。憲法改正に関しては、「9条に限らず、幅広く議論する」と訴える。国防問題を争点として薄めようとしているようにさえ見える。

 

その上、「原発ゼロの社会を目指す」と力強く明言している。「エネルギー安全保障」の観点からも危険な提言であり、潜在的な核抑止力も自ら手放そうとしている。

 

そもそも、小池氏は国政に進出する前に、ミサイルのターゲットにされる可能性の高い東京の首長として、「国民保護」の強化を急ぐべきではなかったか。核シェルター普及や、避難先の確保、有事に備えた避難訓練の実施徹底などは、待ったなしの課題のはずだ。

 

マスコミも習性上、「安倍自民」と「小池希望」の対立構造に大きな焦点を当てて報道する可能性は高い。これでさらに選挙の争点は、「国防」「安全保障」からずらされる。

 

今の日本には、保身や打算を超えて、真に国民の安全を守る意志と行動力がある政党が必要だ。

(馬場光太郎)

 

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タグ: 国難突破解散  国難選挙  幸福実現党  衆議院  北朝鮮  マニフェスト  小池百合子  希望の党  

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