2017年10月号記事
第61回
釈量子の志士奮迅
幸福実現党党首
釈量子
(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
侵略国家に立ち向かう真の平和主義を
グアム沖へのミサイル発射を予告した北朝鮮。写真:AP/アフロ
8月6日、広島市の「原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」に出席しました。
今年も会場周辺に「安倍やめろ」の声がこだまする中、安倍晋三首相は「非核三原則の堅持」に言及。湯崎英彦・広島県知事も、「神話に過ぎない核抑止論から脱却し……」と熱弁をふるい拍手を受けていました。
しかしその5日後、北朝鮮は米領グアム沖に新型中距離弾道弾の射撃を予告。日本上空の通過地として島根県、高知県と同時に広島県を名指ししました。核抑止を「神話だ」と切って捨てた湯崎知事も、他の県知事と共に上京し、国にミサイル防衛を要請することになりました。
口では「平和」と言いながら、実際の防衛の現実に直面する段になると、国の仕事だと開き直るのは実に不可思議な姿で、背筋が凍る思いがします。
そもそも、このご時世に首相が「非核三原則」に触れる必要はなかったでしょう。官僚的な前例踏襲が、首相の国防に対するセンスのなさを内外に証明してしまった感も否めません。
日本では、遅くとも来年末までに衆院選が行われます。具体的な危険が差し迫る中、自民党議員はますますリスクを取った発言ができなくなり、加えて公明党が足を引っ張る―。すでに、日本の中枢は静かに終わりを迎えているように見えます。
北朝鮮の奥には中国がいる
日本にとって幸いなのは、米国のトランプ大統領が世界最強の核抑止力を背景に、巧みに言論戦を展開しながら、アジアの平和を守るため手を打っていることです。日本は今こそ、日米同盟を強化しつつ、国を守る具体的な方策に着手すべきです。
中四国に展開したPAC3は、射程が短く、ミサイルの不具合で落下してくる部品等を撃ち落とすことを想定したものです。当然、使用すれば破片等で人的被害が生じますが、日本のシェルター設置も進んでいません。大気圏外の高高度で迎撃しようとしても、わが国の迎撃力を持つイージス艦は今のところ4隻しかありません。辛うじて地方自治体が、ミサイルを想定した避難訓練を実施しているというのが現状です。
ただ、北朝鮮への対応に追われて、小手先の防衛に留まってはなりません。北朝鮮の危機の背後には、軍事的膨張を続ける中国の脅威があるからです。次の危機に備え、日本は根本的な政策転換が必要なのです。
今秋、習近平国家主席は5年に1度の共産党大会を経て、より強い独裁権を発揮することが予想されています。13億人国家が資源と食糧を国外に求め、米国の覇権に挑戦し、新たな国際秩序の建設を目論んでいます。
隣国の覇権主義に対峙するため、具体的な防衛戦略が必要です。核装備や軍事費倍増の議論から逃げるなら、国が滅びる覚悟をしなければなりません。
「世界平和建設」を国是に
野蛮な侵略主義に立ち向かうためにも、日本は、新たな平和主義を掲げるべき時が来ていると痛感します。GHQに押し付けられた現行憲法前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」という前提や9条を堅持すれば、北朝鮮や中国の力の前に屈することになります。
幸福実現党では、大川隆法総裁による「新・日本国憲法試案」第一条「国民は、和を以て尊しとなし、争うことなきを旨とせよ。また、世界平和実現のため、積極的にその建設に努力せよ」を、日本の国是とすべき精神と考えています。
私たちは、単に文言として憲法改正を訴えているのではなく、敗戦後に刷り込まれた自虐的な精神構造から日本人の誇りを取り戻そうとしています。「加憲」のような憲法改正論は、日本に危機を招き入れるだけです。
補足になりますが、わが党は、早期の憲法改正を目指しつつも、差し迫る危機に対しては、かねてより主張してきた「平和を脅かす国には憲法9条の適用除外」を実施すべきと考えていますし、領空や領海を侵す戦闘機や艦船は、撃墜できる法体系にすぐに変えたいところです。
確かに、日米豪印で対中包囲網を形成しようという「安保ダイヤモンド構想」や、集団的自衛権の行使容認など、安倍政権下で国の守りは進んだ面もあります。しかしその「積極的平和主義」も、自衛隊の装備や予算、法改正が伴わず、掛け声で終わろうとしています。
結局、具体的な抑止力がなければ、軍事大国の前には無力です。だからこそ私たちは「核装備」をも訴えています。
危機の中で政治家の真価が問われます。清潔で、勇断できる政治を目指し、戦ってまいります。