2017年7月号記事
第58回
釈量子の志士奮迅
幸福実現党党首
釈量子
(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
進歩した北ミサイル退歩した9条改正
北朝鮮が軍事開発を、着々と進めています。5月14日には、ミサイル「火星12」を発射し、北海道奥尻島沖450キロの日本の防空識別圏内に着弾させました。今回の新型ミサイルの射程は最大5千キロに達するとされ、グアムが射程圏内に入ったとも指摘されています。
アメリカ本土に届く核を持つこととなれば、日本はアメリカに守ってもらえなくなります。自分の国を自分で守れる態勢づくりが急務です。
幸福実現党は立党時より、北朝鮮の暴走を止めるため、憲法9条改正や敵基地攻撃能力の保有などを訴えてきました。
内閣府に陳情する釈党首。
最近では、全国約300の地方公共団体の首長・議会に、国民保護に万全の措置を取るよう求める陳情や要望書を提出しました。
私自身も4月、安倍晋三首相宛てに「緊迫化する朝鮮半島情勢を受け万全の措置を求める要望書」を提出しましたが(写真)、政府の対応は後手後手。野党も政局絡みの発言ばかりで、国民保護に取り組む様子はありません。
もやもやとした「加憲」
この"もやもや"に拍車をかけているのが安倍首相の「加憲」です。
憲法9条の「戦争と武力の行使は放棄する」(1項)、「戦力は保持しない。交戦権は認めない」(2項)という文言を残したまま、自衛隊の存在を明記する方針を打ち出しました。9条を改正し、国防軍を持つという野党時代の構想はどこに行ったのでしょうか。骨抜きの「加憲」には、ただ唖然とするばかりです。
憲法9条の1項と2項があるがゆえに、日本は、十分な抑止力を持てません。核で脅されても、迎撃はおろか避難態勢も不十分であり、大量のミサイルを撃ち込まれたら守り切れません。
安倍首相は、自民・公明・日本維新で両院3分の2以上の議席を保持している間に、何でもいいから妥協点を見出し、護憲派を切り崩したいのでしょう。しかし、北朝鮮の危機がこれほど顕在化した今、公明正大に9条全面改正の議論をすべきです。
さらに、「教育無償化」も、左派をも抱き込もうとする意図がにじみ出ています。しかし、無償化すれば教育の質はさらに低下し、私学や塾に通う子供が増えるだけで、何も解決しません。
かつて、「すべての児童の無償の教育」と訴えたのは、マルクスの『共産党宣言』でした。首相が言っているのは、教育の社会主義化であり、失敗することは目に見えています。
教育無償化を打ち出すことで、憲法改正の賛成票を"買収"しようとしているなら、政治家としての信義に反していると思います。
緊迫する朝鮮情勢
北朝鮮情勢が緊迫する中、韓国で、文在寅・新大統領が誕生しました。北朝鮮には融和的で、就任式ではさかんに「平和」を強調していましたが、私は、日本の危機が増すと見ています。
まず、北の核放棄がさらに先延ばしになる可能性があります。トランプ米大統領は今、強硬策に出てでも、北朝鮮の核開発を止めようとしています。文氏がその動きを乱せば、北にとっては時間稼ぎになります。
また、文氏はかつて「北朝鮮と連邦統一政府をつくる」と語っています。文氏の「親北」と「反日」は、実は表裏一体です。反日感情を利用して、南北朝鮮が統一に向かうというシナリオは十分にあり得ます。国民に甘い言葉を語り、一方では外に敵をつくって国民を扇動しようとする文氏の手法は、ファシズムの台頭と重なります。日本は、「核を持った反日国家」が対馬海峡を隔てて隣接する可能性を、最悪の事態として想定しておくべきです。
9条全面改正を正々堂々と
次の衆院選のテーマは間違いなく、憲法改正ですし、そうあるべきでしょう。9条の全面改正、特に第2項の「戦力不保持」「交戦権の否認」を改めることは、絶対に譲れないところです。
憲法改正には、崇高な理念も伴わねばなりません。例えば9条については、「和を以て尊しとなし、争うことなきを旨とせよ」という調和の精神を掲げながら、世界平和実現のために積極的に努力していくことを打ち出した上で、国防軍を持つことを定めてはどうかと思います。
北朝鮮や中国に思想・信条の自由はなく、香港もそこに呑みこまれそうです。今、東アジアには、幸福実現党の掲げる政治哲学、「自由の創設」が必要です。独裁国家の恫喝に屈することなく、この地域で主導的な役割を果たせる日本を、もう一度、創っていこうではありませんか。