ドナルド・トランプ氏のアメリカ大統領就任から1週間が経った。25日までの6日間で既に12本もの大統領令に署名しており、次々と公約を実行している。

27日にはイギリスのメイ首相がホワイトハウスを訪れ、トランプ政権発足後、初の首脳会談が行われた。首脳会談では、米英間における経済協力と貿易を進め、テロリズムへの対抗手段として北大西洋条約機構(NATO)を重視することで一致した。

会談後に開かれた記者会見では、これらの論点に加え、イギリスのEU離脱(Brexit)や、ロシアとの関係などについても言及があった。

トランプ大統領は記者会見で、イギリスのEU離脱に関する記者の質問に対して、このように答えた。

「私は、(イギリスのEU離脱が)いずれ起こるはずだと言ってきた。なぜなら、人々は、自分たちの国にどのような人々が訪れるのかを知りたいと思うし、また、自国の貿易やその他さまざまなことを自分たちの手で管理したいと思うからだ。(中略)私は、イギリスのEU離脱はあなたがたの国にとって素晴らしいものになると思っている」(27日付米公共ラジオ局National Public Radio電子版)

メイ首相も、以下のように米英関係の強化の重要性を訴えた。

「米英間の貿易協定は、両国の国益に沿うものであり、極めて重要な2国の関係を強めるものであると確信している。特に、イギリスがEUから脱退し、世界に手を伸ばしている現在においてはなおさらのこと」(同)

両国は今後、協力関係を強化していくだろう。

次々と公約を実行するトランプ大統領

ここで、メイ首相との会談が行われた27日までに行われた主なことを概観しよう。

20日(金)

  • オバマ前大統領が進めた、「オバマケア」と呼ばれる医療保険制度の撤廃に向けた大統領令に署名。
  • 各省庁が導入する予定だった新たな規制を、新閣僚が再検討するまで全て凍結することを指示。

23日(月)

  • 環太平洋連携協定(TPP)からの永久離脱を、大統領権限に基づき米通商代表部(USTR)に指示。
  • 人工妊娠中絶を支援する海外団体に対して、政府からの補助金交付を禁止する大統領令に署名。

24日(火)

  • カナダからアメリカに原油を輸送するパイプラインと、米ノースダコタ州に敷設予定の石油パイプラインの建設を推進する大統領令に署名。

25日(水)

  • 不法移民対策として、メキシコ国境沿いに壁を建設するよう命じる大統領令に署名。

27日(金)

  • シリア難民の受け入れを一時停止し、特定の国の入国ビザを制限する大統領令に署名。

トランプ新政権のスピードについて行くべき

わずか1週間で、ことごとく民主党・オバマ前大統領の方針が覆され、「トランプ革命」が進んでいる。28日にはロシアのプーチン大統領と電話会談を行い、さらに独仏の首脳とも電話で会談する見通しだ。2月には安倍晋三首相との会談も予定している。

トランプ大統領は、結論が明確で動きが早い。日本政府も、このスピードについて行く必要がある。

(片岡眞有子)

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