米財務省が、北朝鮮の金正恩氏ら政権幹部を、人権侵害を理由に金融制裁の対象に指定したことに対し、北朝鮮側が反発していることを各紙が報じている。

これまでの米政府の北朝鮮への制裁は、核やミサイル開発に対するものだったが、今回、拷問や虐待が日常的に行われる政治犯収容所などの人権侵害が対象となった。北朝鮮は、いつものとおり強く反発しており、非核化の条件として「在韓米軍の撤退」などを要求したほか、制裁の無条件即時撤回を求める声明を出した。

北朝鮮の核開発は止まらない

ここから読み取れることは大きく2つある。

ひとつは、アメリカが北朝鮮批判で一歩踏み込んだということだ。2003年のイラク戦争開戦において、アメリカが掲げた大義名分は、おもに「大量破壊兵器を保有している(イラク側は否定)」「フセイン大統領は市民を弾圧している」「テロリストを支援している」の3つだった。

この大義名分だけを見れば、北朝鮮は明らかに2つ当てはまっている。しかもイラクでは大量破壊兵器は結局見つからなかったが、北朝鮮は自ら保有を宣言している。

もちろん、アメリカがイラクと開戦した背景には2001年の9.11アメリカ同時多発テロがあったので、当てはまっているからといってすぐに北朝鮮に軍事介入するわけではないが、これまでよりも一歩踏み込んだと見ることはできる。

もうひとつは、北朝鮮の核開発は止まらないということだ。北朝鮮への経済制裁は、2006年から国連安保理の決議で多数の国により行われてきた。しかし、北朝鮮は今年に入ってからも実験を繰り返しており、たびたび北朝鮮のミサイルが日本上空を通過している。

経済制裁で北朝鮮の核開発の意志をくじくことはできないのは明らかだ。

北朝鮮問題は日本の問題

今後、北朝鮮の行く道は2つあるだろう。核ミサイルを完成させ、その暁に日本を含む周辺諸国を核で脅して今以上の脅威を与えるか、金正恩政権が内部のクーデターあるいは外部の攻撃によって崩壊するかのどちらかだ。

そのいずれになったとしても、日本は大きな影響を受ける。

こうした国防や外交について、どれだけ真剣に考え、議論できるかが、日本の未来に大きく関わっている。10日に投開票日を迎える参院選でも、この点は争点にされるべきだろう。

この北朝鮮の危機について、2009年に立党した幸福実現党は、立党時から警戒し、国防を強化するよう主張してきた。

言うべきことを正面から主張し、その内容に先見性がある政党と、国家の未来にとって重要なことを選挙の争点にしない政党。どちらが国民のことを考えているかは明らかだ。(大/紘)

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