キリスト教会がスケート場に? 必要なのは”教義”のイノベーション
2015.01.13
キリスト教は、現代社会の諸問題を解決することができるのか。
キリスト教の教会の閉鎖が進んでいるヨーロッパの現状を、ウォール・ストリート・ジャーナル紙がコラムで取り上げた。
同コラムによると、ヨーロッパでは、ユダヤ教やイスラム教などの他宗に比べて、キリスト教信者が減少傾向にあり、オランダでは、10年以内にカトリック教会の3分の2が活動停止すると予想されている。
閉鎖されスケート場・バーに変わる教会
閉鎖の憂き目にあった教会の中には、「第二の人生」をスケート場やバーとして送っているものも少なくないという。閉鎖された教会を、バーとして再利用している人は、「古い教会は何百もあるが、誰もそこに行かない。新たに目的が見つからなければ、空っぽのままそこに残るだけだ」と教会を取り巻く現状を語っている。
建物の保護や経済面などで、教会の再利用は地域に恩恵をもたらす面もあるだろうが、祈りの場としての教会本来の存在意義を考えると、非常に残念で寂しいことだ。
キリスト教は現代的問題に答えられない
こうしたキリスト教の教会の閉鎖、信者減少の背景には、キリスト教が現代的な課題や悩みに答えられていない現状がある。
キリスト教の限界の一つは、「発展」の思想が説かれていないことだ。聖書には「人は神と富の両方に仕えることはできない」といった言葉が残っている。こうした「清貧の思想」は、お金持ちに対する嫉妬心を助長するなど、個人が勤労を通じて富を創造していくことを否定することにつながり、発展繁栄の阻害要因にもなっている。
また、同性婚や離婚の是非も、今キリスト教圏で問題になっている。教会では、結婚は神の制定によるものとされ、離婚は禁じられている。だが、現実問題として離婚は急増しており、新しい悩みに答えているとは言えない。同性婚も多くの宗派が禁じているが、近年では欧米諸国を中心に法的に認める国が急増している。
ローマ法王は昨年10月、バチカンで開かれた世界代表司教会議に参加。最終報告書が発表された翌日に、「神は新しいことを恐れていない」と述べ、同性愛者を許容する態度を見せた。だが、同性愛者に向けられる差別や宗教的な罪悪感をどうやって救うのかについて、何も指針を示せていない。
霊的知識の欠如のため価値判断が下せない
キリスト教の限界を画しているのは、キリスト教の霊的知識の欠落にあると思われる。
かつて、転生輪廻や天国・地獄の思想など、キリスト教に不足している霊的思想を補うグノーシス派がキリスト教の一派として登場したが、時のキリスト教会により、異端とされ徹底的に壊滅された。だが、死後の世界や人間の魂の真実に迫る霊的人生観は、現代の問題や人生の途上でぶつかる悩み解決の糸口となりうる。
富の問題については、正しい信仰を持っている者が豊かになることは神の国を地上に実現する上で大きな力となる。悪人が栄え、善人が滅びることは神の望むことではない。信仰者が富を正しく使うことで、貧困が解決できれば、多くの人を幸せにすることになる。何より、事業家として成功して巨万の富を築いた偉人たちの多くは、死後天国に還り、地上の企業家たちを指導しているという霊的真実がある。信仰者が富を築くことは祝福されるべきことなのだ。
同性婚については、霊的人生観がなければ真実が見えない。霊的真実を述べると、人間はこの世とあの世の転生輪廻を通して、魂修行をしている霊的存在だ。男性としての転生が多い魂が女性として生まれると、肉体の性ではなく魂の性質である男性の感覚によって、女性に好意を抱くケースがあるのだ。
こうした現代的な問題は、霊的な真実を考慮に入れなければ分からない。中世ヨーロッパにおいて宗教改革が行われたキリスト教だが、キリスト教徒の教会離れを食い止めるには、霊的背景を取り入れ、教義をもう一段イノベーションすることが必要かもしれない。(冨)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『イエス・キリストに聞く「同性婚問題」』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1004
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