米国人「イスラム国」参加で波紋 テロ克服には宗教的真理の広がりが必要
2014.08.29
アメリカ国務省のハーフ副報道官はこのほど、CNNのニュース番組で、最大100人の米国民がイスラム教過激派「イスラム国」などに参加していることを明らかにした。自国民がテロ行為に関係していることが分かり、アメリカ国内で波紋を呼んでいる。
ハーフ氏が発言する前、「イスラム国」が、約2年前にシリアで行方不明になっていたアメリカ人ジャーナリストの処刑模様をネットで配信した。しかも、この実行犯がイギリス人であるとの情報が流れ、米英両国に衝撃を与えたばかり。アメリカ当局によると、「イスラム国」などの過激派に参加する外国人は、数百人の欧州人、数十人のアメリカ人など合わせて7000人を超えているという。
中東からの移民が増えている欧米諸国は、テロ行為に関係する自国民が渡航先から帰国してくることに神経をとがらせており、“テロリストのグローバル化"を問題視している。特に、アメリカは、国際テロリスト組織「アルカイダ」を始めとするイスラム教過激派に対し、軍事行動で厳しい対応をしてきた経緯があり、テロリストの自国流入は静かだが着実な脅威となっている。
アメリカ国民がテロ行為に関与する背景には、アメリカ社会になじめない中東移民やイスラム教徒の増加がある。アメリカ国内で200万人を超えるイスラム教徒の人口は、2030年までに3倍の600万人まで増えると見込まれており、その半分以上が移民による増加だ。そうした中、アメリカ社会に溶け込めない一部の移民が「イスラム国」などに参加している。
民間人を標的にするテロ行為に対し、軍事的な抑止を働かせること自体は間違いではない。だが、テロ行為が起きる根本には、宗教対立や人種対立がある。他教徒や他人種を「悪」「劣っている」と見るような対立意識を解決しない限り、テロに脅える世界はなくならない。テロと恐怖を克服するには、キリスト教やイスラム教を超える宗教的真理の広がりが必要不可欠だ。(山本慧)
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