北朝鮮核問題 韓国軍制服組トップが「先制攻撃」の選択肢を示唆
2013.02.09
核兵器の実用化を目指して3度目の核実験の準備を進める北朝鮮に対して、関係各国は対抗措置に動いている。その中で、韓国軍制服組のトップである鄭承兆(チョン・スンジョ)合同参謀本部議長は6日、国会の国防委員会で「核兵器による明らかな攻撃の兆候があれば、自衛権の次元で先制攻撃を行う」と述べた。
鄭議長はまた、「敵が核兵器で攻撃してくる時は、すでに戦争をやるつもりのはず。先に核攻撃を受けるより、先制攻撃してから戦争する方が良い」とも発言。万が一の時には、全面戦争を覚悟してでも自衛のための先制攻撃を行うべきだとしている。
この自衛のための先制攻撃というオプションが、米韓の共通戦略にまでなる可能性を指摘する声もある。韓国・総合ニュースは、10月に開かれる米韓定例安保協議(SCM)で、米韓両国が北朝鮮の核の脅威に対する戦略を策定する見込みだという韓国国防部筋の話を紹介。同筋はまた、協議の席上で先制攻撃が「考慮の対象」になると述べている。
ある国が核保有を目指せば、脅威を感じた周辺国が対抗措置に出るのは自然の流れと言える。北朝鮮が核実験を示唆したことを受けて、アメリカは核搭載も可能なステルス爆撃機をグアムに配備したほか、実験が行われた場合に北朝鮮をテロ支援国家に再指定する可能性も検討している。また中東では、イランが核開発を進めているが、敵と目するイスラエルが核兵器を事実上保有しているのがその一因だ。
そうした意味で、敵対的な隣国が核兵器を持とうとしているこの時に、「実験後には制裁を強化する」という立場に留まる日本側の静けさは、国際常識からして異様と言える。国防に関する議論は憲法9条の解釈をめぐって常に紛糾するが、いつまでもごたごたをやっていては、国が滅びる日は近い。
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2013年2月5日付本欄 【そもそも解説】北朝鮮が3回目の核実験へ、これまでの経緯は?
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