独仏首脳がユーロ圏に「経済政府」設立で合意

2011.08.18

フランスのサルコジ大統領とドイツのメルケル首相は、16日にパリで会談し、ユーロ圏に「経済政府」の設立を目指すことで合意した。各メディアで報じている。

通貨を統合し、金融政策を一致させても、財政政策が各国で異なるため、ユーロ圏の経済統合が十分に機能しなかったという反省に基づいた判断だ。

域内の税制を統合して、「経済政府」を創ることでは合意できたが、「ユーロ共同債」の発行などの具体策は見送られため、市場は失望し、発表当日のユーロは下落した。

しかし、金融政策に続いて、財政政策を統合すれば、ユーロの解体は一層確実なものとなろう。言葉も文化も歴史も大きく異なる国同士が、同じ経済政策を一律に当てはめることで、うまくいくはずがない。今回のギリシャ危機に端を発するユーロ危機は、それを証明したはずだが、「統合が足りなかった」という逆判断をしているようだ。

ユーロの統合は、ある意味で、「地球政府づくり」の文明実験でもある。これは、新たな計画経済、形を変えた社会主義国の実験であり、ベルリンの壁が崩れ、ソ連が崩壊した時点で、間違っていたという結論が出たものだ。

かつてのパワーはないとはいえ、世界最強国の座からは簡単に滑り落ちそうもない米国。失われた20年と言いながら先進国であり続ける日本。そして、新たに台頭する中国とインド。その中で相対的にその地位を低下させている欧州にとって、各国がバラバラであっては国際競争から取り残されるという恐怖心があるかもしれない。

しかし弱者連合が、世界の覇権を握った例はない。ユーロの試みは悲惨な最期を迎える可能性が高い。傷が深くならないうちに、ユーロは緩やかに解体に向かうべきだろう。(村)


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