「中国・パキスタン経済回廊」を新・植民地主義だと叫ぶパキスタン人【チャイナリスクの死角】
2025.09.16
パキスタン・カラチのジンナー国際空港(A.Savin/Wikipedia)。
国際政治学者
佐久間 拓真
(ペンネーム)
国際政治の中でも特に米中関係、インド太平洋の安全保障、中国情勢を専門にし、この分野で講演や執筆活動、現地調査などを行う。
前稿で、中国の「一帯一路」に抗議するパキスタンにおけるテロ事件を紹介した。その実行犯と見られるバルチスタン解放軍(Balochistan Liberation Army、以下BLA)の実態を見ると、パキスタン政府への歴年の不満が、今、中国への不信感と相乗的に高まっている雰囲気の一端を伺い知れる。
パキスタン政府と中国の少数民族抑圧に不満がたまる
BLAは、バルチスタン州を拠点に活動し、バルチ人の民族独立を掲げた過激派組織だ。2000年に設立され、パキスタンからの分離を目指してテロ活動を繰り返している。前稿で述べたように、特に近年、中国・パキスタン経済回廊(CPEC)関連のプロジェクトを標的にした攻撃で知られ、中国人労働者やインフラを狙うことで国際的な注目を集めている。
その起源は、バルチスタン州の長い反乱史に遡る。バルチスタン州はパキスタン最大の州だが、人口は少なく、天然ガスや鉱物資源が豊富だ。しかし、中央政府による開発が地元住民を排除している。この資源搾取と抑圧に対し、バルチ人は不満を蓄積させてきた。
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