ドイツ自動車工業会と労働組合が、EUに「2035年ガソリン車新車販売禁止の撤回」を要請 ─ 強引な脱炭素が産業を破壊することに日本も要注意

2025.09.13

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《ニュース》

ドイツ自動車工業会と、自動車業界の労働組合であるIGメタルは、欧州連合(EU)に対し、「走行時に二酸化炭素を排出するガソリン車などの生産を2035年以降禁止する計画」を撤回するよう要請しました。

《詳細》

ドイツ自工会とIGメタルは11日に発表した共同声明で、「二酸化炭素規制にもっと柔軟になるべきだ」と要求しました。電気自動車(EV)の生産量増加や市場の成長は、バッテリーの供給の限界や充電インフラの伸びが鈍化しているため、当初の見通しより遅れていると指摘。2035年にガソリン車を禁止する目標を達成するのは「不可能」であるとしました。

また、自動車大手も35年目標に反対の声を上げています。9日に行われたミュンヘン国際自動車ショーで、独フォルクスワーゲン社のオリバー・ブルーメCEOは、新型EVを披露した直後に、「2035年にEV100%にするのは非現実的」だと指摘。メルセデス・ベンツ社のオラ・カレニウスCEOも、政策において何が機能し、何が調整を要するかを見直す時で、「何もしないという選択肢はあり得ないと確信している」と9日付ブルームバーグに話しています。

この自動車ショーではメルツ独首相も講演し、「政治が特定の技術に肩入れするのは、経済政策として間違ったやり方だ」「規制にはより柔軟性が必要」と発言。過度な環境政策を転換する姿勢を示しました。加えて、連立与党のキリスト教社会同盟のゼーダー党首も、「エンジン車にはまだ未来がある」と訴えています。

「2035年ガソリン車の新車販売禁止」に対しては、これまでドイツを中心とした欧州の自動車メーカーから強い反発が出ていました。23年、EUはドイツ政府の意見を踏まえ、この禁止規定から、バイオ燃料を使用する自動車を除外することを認めています。

また、EUは「2025年までに、自動車メーカー各社が販売台数の少なくとも5分の1をEVにすること」を義務付けており、違反した自動車会社には罰金を科す予定としていました。EVの販売台数が伸びない中、罰金の合計額は「2兆円超」になると見込まれていました。自動車各社の悲鳴を受け、今年3月には「25年から27年の3年間の平均で基準を満たす」という形で基準を緩和することが決まっています。

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タグ: EU  フォルクスワーゲン  ドイツ  電気自動車  撤回  ガソリン車  脱炭素  禁止 

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