対露強硬のイギリスがウクライナ停戦交渉で暗躍し、ロシアが牽制 ヨーロッパの徹底抗戦論をコントロールしつつ、早期停戦すべき
2025.03.14
《ニュース》
アメリカとウクライナが合意し、ロシアが条件付きの賛成を示した「30日間の停戦案」をめぐり、「イギリスが停戦を妨害している」という見方が浮上しています。
《詳細》
ウクライナの和平に関心を示すトランプ米大統領への感謝を表明したプーチン露大統領は、「我々は敵対行為を停止する提案に同意するが、長期的な平和につながり、危機の根本原因を取り除くものでなければならない」と述べ、停戦を支持する意向を明らかにしました。
ただし、実際に停戦を行うには「微妙な点がある」として、プーチン氏は現実的な問題も列挙しました。「誰が約2000キロメートル(の前線)での合意違反を決めるのか」「30日間は、ウクライナの動員や兵器供給のためなのではないか」などと述べ、劣勢のウクライナが軍を立て直す時間稼ぎに利用すると警告しました。
即席につくられた停戦案について、スターマー英首相の補佐官であるパウエル氏が、アメリカとウクライナの橋渡し役となり、停戦案をまとめたと、英BBCがこのほど報道。ウクライナのゼレンスキー大統領が米ホワイトハウスでの交渉が決裂したわずか2日後に、ヨーロッパを中心とした16カ国などがロンドンで緊急会合を行った動きを見ても、「イギリスが裏で糸を引いている」との見方が強まっています。
具体的には、ロシアの対外情報庁が10日に、イギリス指導部はロシアとアメリカの対話の推進が、自国の利益を脅かすと見て、"トランプ氏はロシアに操られやすい人物"と描写し、悪者に仕立て上げる任務を遂行していると指摘しています。
イギリスはフランスと呼応し、停戦が実現した場合、「ウクライナに有志連合軍を派遣する考え」を示し、ウクライナの安全保障に関与する準備を着々と進めています。つまり、停戦期間が過ぎれば、欧州の軍隊が出て来る可能性が浮上したことを受け、ロシア側は「世界大戦の危機が高まるだけだ」とヨーロッパ諸国を強くけん制しています。
とはいえ客観的な状況としては、ウクライナが妥協を迫られることは確実であり、崩れつつあるウクライナ支援をヨーロッパが必死に支えようとしているというのが実情です。イギリスらが呼びかける有志連合についても、数十カ国に協力を要請したとみられ、現状では15カ国くらいしか関心を示していない状況です。
停戦案のボールを投げ返したプーチン氏は、交渉を仲介するトランプ氏との会談を望み、トランプ氏も応じる考えを示しています。それに先立ちロシアは、交渉を担ってきたアメリカのケロッグ特使について、「ウクライナとの距離が近すぎる」と米政府に伝えたと報道され、代わりにウィトコフ特使が13日にモスクワを訪れ、停戦案を議論しました。
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