中国政府による借金滞納者への取り締まりが厳しさ増す 経済苦境の中、これまで以上に国民統制を強化
2024.06.06
《ニュース》
中国政府は、借金滞納者の給料を差し押さえる、政府の仕事に就くことを制限する、高速鉄道や飛行機の利用を控えさせる、多額の保険に加入することを禁じる、休暇に出かけることや高級ホテルに泊まることを禁じるなどして、借金滞納者への処罰を強化しています。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じました(4月23日付電子版)。
《詳細》
WSJの報道によると、借金返済での法的義務を果たさなかったとして、「失信被執行人」という中国政府のブラックリストに掲載された借金滞納者数は830万人。家計債務(家計が抱える金融機関などからの借金)の総額は、約11兆ドル(約1700兆円)に上っています。
中国で個人債務が増加した原因の1つが、不動産への投資ブームです。ブームが去り、不動産価格が下落傾向にある中で、多額の債務を抱えた人が多く出ています。またクレジットカードやアリペイ、ウィーチャットアプリなどの電子決済で多額の債務を抱えた人も多いと指摘されています。
借金滞納者への処罰は幅広く、ビジネスインサイダーによると、中国の一部の電話会社は、債務者に特別な着信音を割り当てることで、他の人に破産寸前の人と通話していることを警告することまでしていると言います(4月30日付)。
中国では、2021年3月からハイテク都市の深センで同国初となる個人破産制度が始まっていますが、今なお大半の人々が自己破産をすることを認められていません。現行制度は債権者(国有機関が多い)の保護を重視しているためです。
WSJによると、個人破産制度が整えられれば、不良債権のコストは債権者と債務者に分担されることになるため、「習近平国家主席が掲げる格差解消の目標『共同富裕』を達成することにつながる」ことから、専門家たちは早急に個人破産制度を整える必要があると指摘しています。
《どう見るか》
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