AIを神格化する人類 AI皇帝をこの世の支配者にしてよいのか
2023.07.27
2023年9月号記事
AIを神格化する人類
AI皇帝をこの世の支配者にしてよいのか
AI(人工知能)の判断は、公平で正義をもたらすものなのか。
人類はご神託のように、AIの判断を崇めるべきなのか。
AI時代にどう備えるべきかを探った。
生成AIが世に解き放たれた。文章や画像が自動的に作成できるため、重宝され始めた。医療や法律・会計の分野でも活用が見込まれ、AIへの期待値が高まっている。だが人々の熱狂に反して、生成AIにはさまざまな問題がある。その一つが、回答に至る過程を説明できない「ブラック・ボックス問題」だ。
「なぜそのような結論に至るのか、人間の心だって説明できないでしょう?」
米アルファベット(旧グーグル)社の最高経営責任者のサンダー・ピチャイ氏は、このように述べ、自社の生成AI・Bardについて、こう言い訳した(*1)。
技術的には確かにそうかもしれない。ただ多くの人がこうした説明に「責任逃れ」を感じるのではないか。
実際、AIが間違いを犯さないように「教育係」を担当しているのは、グーグルや米マイクロソフト社などの巨大IT企業だ。
マイクロソフトは自社が開発したAIボットのTayに自然言語を学習させようと、ツイッター上に公開したことがある。出だしは好調だったが、他のツイートのユーザーと会話するうちに、たった16時間で「ナチスは正しかった。ユダヤ人は大嫌い」などとツイートし、"人種差別主義者"に変貌してしまった。
(*1)米番組「60ミニッツ」のインタビューでの発言。
生成AIは偏見から自由にはなれない
INTERVIEW 1 AIが勝手に戦争をする時代がやってくる!? / 河田 成治氏
INTERVIEW 2 AIはなぜ人間を超えられないのか / 仙波 洋史氏
AIを神にしてはならない
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