パンダ「シャンシャン」が中国に返還されるも、中止求める嘆願書も多数集まる 「いつでも、帰っておいで」と伝えたい
2023.02.21
《本記事のポイント》
- 上野動物園のシャンシャンが中国に返還された
- 返還中止を求める嘆願書も多数集まる
- 中国の外交政策に翻弄されるパンダたち
2017年に上野動物園で生まれたジャイアントパンダ・香香(シャンシャン)が、中国に返還されるため、21日に日本を離れ、四川省成都の空港に到着。ジャイアントパンダ保護研究センターに向けて出発した。今後検疫を受けて、最終的な滞在地が決まる見通しとなる。
最終観覧日となった19日は、事前抽選で2600人の枠に6万人が申し込む事態となり、最終の時間帯には70倍となった。21日の朝7時15分ごろに上野動物園を出発する際には、早朝にもかかわらず、見送りに150人以上のファンが集まった。
中国から貸与されているパンダから生まれた子供の所有権は中国にあり、中国と東京都は、生まれたパンダを生後24カ月までに返還する協定を結んでいた。ただ、2020年に東京五輪を予定していたこと、その後のコロナ禍によって担当者の行き来が難しくなったことから、返還は延長されていた。
中止を求める嘆願書が相次ぐ
香香の返還が決まったのは昨年11月。東京都が23年2~3月に返還予定と発表したところ、「帰らないで」という声が相次いでいた。
上野動物園には「帰らないでほしい」「上野の宝なんだからお婿さんを迎えてほしかった」などの意見が連日、数多く寄せられているという(18日付東京新聞電子版)。また、上野観光連盟にも「絶望と悲しみの中にいる」「香香のいない上野には行かない」と、返還の中止を求めるメールや電話などの嘆願書が数多く届いている(18日付テレ朝ニュース)。
22日には、和歌山県白浜町の「アドベンチャーワールド」のパンダ3頭も中国に返還される。在日本中国大使館の報道官は、パンダの中国返還にあたり、日中友好の広がりを期待しているとし、「シャンシャンたちの帰国後の生活にも関心を寄せてほしい」と、四川省への観光旅行を呼びかけた。
中国の外交の大きな武器であるパンダ貸与
パンダは繁殖の研究などの名目で各国に貸与されているが、実際には中国の外交に積極的に活用されてきた向きがある。例えば、日本にパンダが来たのは、ちょうど日中国交正常化が行われた1972年のことだ。1979年に中国への経済援助が発表された時に、2代目のパンダが贈呈されている。
一方、2011年には東日本大震災の復興支援の一環で東北地方にパンダを送る計画が進んでいたが、2012年以降、尖閣諸島国有化などの両国の摩擦で頓挫した。
そんな中、2022年10月には、カタールに15年間、オスとメスのつがいでパンダが貸与された。中東へのパンダ貸与は初めてだが、カタール国営石油会社のカタール・エナジーは、中国石油化工集団(シノペック)と液化天然ガスの輸出で長期契約を結んだばかりだ。
パンダは各国で人気があり、経済効果も大きい。中国はそうした各国の足下を見て、パンダの出し入れをコントロールしている。以前、オバマ米大統領がチベットのダライ・ラマ14世と会談した翌日には、アメリカのパンダが貸与期間をおよそ4カ月残して「帰国」することになった。世界の人々に愛されているパンダは、中国政府の都合に翻弄されているのである。
「いつでも、帰っておいで」
生まれて初めて日本を離れ、中国の土地を踏んだ香香の今後はどうなるのか。これから、約600頭が飼育されているジャイアントパンダ保護研究センターでパートナー探しをするというが、香香や生まれた子供も、いずれは全体主義国家の中国に利用されるのか――。香香を愛する人々であれば、心配が募るだろう。だからこそ、日本からは「いつでも、帰っておいで」と呼びかけたい。
【関連楽曲】
『さよなら、香香〔CD〕』 〔作詞・作曲〕大川隆法
〔歌〕大澤美也子 〔発刊元〕ARI Production
「香香、いつでも、帰っておいで。」
上野動物園で生まれたパンダの香香(シャンシャン)。
その愛くるしい姿で日本中から愛された彼女が中国に返還されることに……。
その哀しい別れと中国での行く末を案じた切なくも優しいメロディが、心に染みわたる。
☆たくさんの愛と喜びをくれた大切な存在との別れ
☆親が愛する子の将来を想うような優しい気持ち
☆中国の外交に利用されるパンダという存在の光と闇
幸福の科学出版で購入(視聴あり)
【関連記事】
2022年11月18日付本欄 上野動物園のパンダ・香香が来春、中国へ返還 「いつでも帰っておいで」とメッセージを贈りたい
https://the-liberty.com/article/20052
2022年2月8日付本欄 アメリカで生まれたパンダ 「中国に返さなくてよい」よう、米共和党議員が法律案を提出 日本生まれ、日本育ちのパンダたちの未来
https://the-liberty.com/article/19214/
2021年2月号 いつでも帰っておいで、香香(シャンシャン)
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