釈量子の志士奮迅 [第118回] - マイナ保険証はナチスへの道

2022.11.29

2023年1月号記事

幸福実現党 党首

釈量子の志士奮迅

第118回

幸福実現党 党首

釈 量子

(しゃく・りょうこ) 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
https://shaku-ryoko.net/

マイナ保険証はナチスへの道

河野太郎・デジタル相が、現在の健康保険証を2024年秋をめどに廃止し、マイナンバーカードと一体化すると発表してから、戸惑いと嫌悪感を訴える声が党に多数届いています。入院中のベッドから「何とか止められないのか」と電話をくださる80代女性までいらっしゃるなど、皆さまの危機感は並々ではありません。

ただでさえ政府がマイナンバーカードを普及させるため、国民を「マイナポイント」で釣るといったやり方にはさもしいものがありました。それに輪をかけて、健康保険を人質にする卑怯さには、驚くばかりです。義務化をしたいのであれば、国会の審議を経て「任意取得の原則」を定めた「マイナンバー法」を改正するのが"筋"でしょう。それを国民が許さないのを知っていて、内閣の裁量権で、どさくさに紛れて義務化に持ち込もうとするその手法は極めて危険です。

金融資産課税
情報漏洩、詐欺

マイナンバー推進の行きつく先もまた非常に危険です。政府は「給付金」の振込を迅速にするとして、銀行口座との紐づけを推進するなどしました。これは将来的に大増税を行うインフラづくりの布石と見るべきです。

マイナンバー制度は、旧民主党が2009年、「所得の把握を確実に行うために税と社会保障制度共通の番号制度を導入する」と公約に掲げて以降、一気に具体化してきました。政府は1200兆円以上の借金を抱える中、税金を取るあらゆる手段を探しています。個人の所得のみならず「金融資産」まで把握して、その量に応じて税や社会保障費を負担させる。そしてその資産把握にマイナンバーを使う──という話が、霞が関で普通に議論されていることは、知っておかなければなりません(*)。私有財産を政府が丸裸にできるなら、ナチスと変わりません。

さらにマイナンバーの推進によって、個人情報流出がより深刻となるでしょう。政府は「諸外国の多くが共通番号を導入している」とアピールしますが、各国でどれだけの社会問題を生んでいるかを語っていません。

アメリカでは9桁の「社会保障番号」が導入され、社会のあらゆるシーンで身分証明書として利用されてきました。ところが「漏洩した番号で勝手にクレジットカードなどをつくられ、買い物をされる」といった「なりすまし詐欺」が多発。17年には人口3億数千万人に対して1億4500万人の番号が漏洩し、21年の被害総額は日本の防衛費に匹敵する5~6兆円です。この制度を、「ソーシャル・セキュリティ・ナンバー」ならぬ「ソーシャル・インセキュリティー・ナンバー(社会不安番号)」と呼ぶ人もいます。

韓国でも「住民登録番号」が導入されていますが、14年にはクレジット会社3社からシステム構築の外注を受けた外部会社の社員が、同番号を含む1億4000万件(人口5000万人に対して)の個人情報を盗み出して売却する、といった大事件が頻発しています。

日本でマイナンバーの管理に関わるデジタル庁は、3割以上が民間出身で、9割近くが民間会社と兼務ですが、本当に大丈夫なのでしょうか。

また「マイナ保険証」の導入により病院などでは患者の医療情報を見られるようになります。近年、医療機関への「ランサムウェア」による攻撃が増えており、データを身代金(ランサム)に取られた病院が治療を継続するため、取引に応じざるを得なくなる状況も出てきています。

政府が情報の一元化によって仕事や課税をしやすくする一方、北朝鮮のようなテロ国家によるサイバー戦のリスクが国民に押し付けられるなら、理不尽です。

(*)財務省「財政制度分科会」議事録、内閣府「新経済・財政再生計画 改革工程表2021」等、その一部はネットでも参照できる。

人間の家畜化は許されない

マイナンバー制度の拡大は、自由や民主主義の基盤を破壊する恐ろしいものです。ドイツでは、共通番号はナチスの再来を想起させるということで税務分野の番号に限定しています。イギリスでは労働党政権が、虹彩など生体認証データを含んだIDカードを導入しましたが、政権交代とともに廃止されました。

こうした教訓を学ぶことなく、突き進む日本政府の傲慢さの根源は、中国と同じく、神仏の目を意識する宗教観・精神性の欠如にあります。簡単に自由を奪い、人間を家畜化する政治に警鐘を鳴らすことは、「自由・民主・信仰」を政治的信念とする幸福実現党の使命だと考えています。

画像:umaruchan4678 / Shutterstock.com

タグ: 幸福実現党  ナチス  サイバー攻撃  釈量子の志士奮迅  マイナンバーカード  デジタル相  個人情報  マイナ保険証  釈量子  資産課税  2023年1月号記事 

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