トランプ政権が宇宙からミサイル防衛を強化 日本の決断が世界の未来を変える
2019.01.21
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《本記事のポイント》
- トランプ政権がミサイル防衛強化の新戦略で、宇宙空間の活用を掲げた
- 日米の宇宙進出によって、中国の覇権拡大に歯止めがかかる
- 中ロ接近を阻止するため、日露平和条約の締結が急務
トランプ政権がこのほど、ミサイル防衛強化に向けた新戦略「ミサイル防衛の見直し(MDR)」を公表した。
新型巡航ミサイルや音速の5倍(マッハ5)以上の高速で飛ぶ「極超音速兵器」に対抗するため、宇宙空間を活用する方針を打ち出している。ミサイル軌道を追跡する高性能センサーを宇宙空間に設置し、地上センサーでは探知が難しい新型兵器にも対応できる迎撃システムの構築を掲げた。
トランプ政権でのミサイル防衛戦略の発表は初めてのことで、新型ミサイル開発を進める中国とロシアの脅威を明確に意識していることが特徴だ。米誌フォーリン・ポリシーは、これを「冷戦以来で最も本格的なものとなり得るミサイル防衛能力の拡大」と表現している(17日付電子版)。
日米の宇宙進出が中国を止める
トランプ氏が進める宇宙空間の活用について、一部メディアは「軍拡競争を誘発する恐れがある」と報じているが、それならば中国政府をこそ批判すべきだろう。
中国は、宇宙から地上を攻撃するレーザー兵器の開発を進め、独自の宇宙ステーション「天宮(てんきゅう)」の運用を計画するなど、宇宙開発に余念がない。宇宙空間を制することで、軍事的優位を獲得したい考えだ。実際、中国は何度もアメリカの軍事用偵察衛星の活動を妨害し、宇宙空間から米軍を追い出そうとしている。年始にも、世界で初めて月の裏側に探査機を着陸させ、注目を集めた。
アメリカが対抗馬となって中国の宇宙侵略に歯止めをかけなければ、70億を超える世界の人々が中国共産党の支配下に置かれかねない。中国の覇権主義を抑止するために、日本も国家戦略として真剣に宇宙開発を進めるべきだ。
日露関係が世界の未来を変える
さらに日本に求められることとしては、ロシアとの平和条約締結だ。
今回発表されたMDRでもロシアの脅威が念頭に置かれたが、米露の対立激化によって中露が接近してしまわないよう、日本は「つなぎ役」となる必要がある。着々と最先端兵器を開発する中国と、世界第一の核保有国であるロシアが軍事的に手を組んでしまえば、いかにアメリカと言えど完全勝利は難しい。終わりのない"第三次世界大戦"が訪れる可能性もある。
日露平和条約締結に向けて、河野太郎外相とロシアのラブロフ外相による会談が14日に行われたが、相変わらず北方領土問題で食い違っている。確かに、「北方4島(南クリール諸島)は第二次大戦の結果ロシア領になった」というロシア側の主張は受け入れがたいかもしれない。
しかし、たとえ領土問題を棚上げしたとしても平和条約を締結し、ロシアを含めた「中国包囲網」の完成を急ぐべきだ。
中国の覇権主義を食い止めるため、宇宙開発の強化と、日米露の三国連携に向けた決断が今求められている。
(片岡眞有子)
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