釈量子の志士奮迅 [第70回] - 戦わずして勝った米朝会談

2018.06.29

2018年8月号記事

第70回

幸福実現党 党首 釈量子の志士奮迅

幸福実現党党首

釈量子

(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。

釈量子のブログはこちらでご覧になれます。

http://shaku-ryoko.net/

戦わずして勝った米朝会談

米朝首脳会談後、共同声明にサインをするトランプ米大統領。

6月12日に行われた米朝首脳会談は、幸福実現党にとっても重要なイベントでした。

というのもわが党は2009年、北朝鮮による核・ミサイル開発加速に危機感を抱いた、大川隆法・党創始者兼総裁の思いを受けて立党したためです。

同年4月、北朝鮮は弾道ミサイルを発射し、日本列島上空を横断させます。同5月、北朝鮮が核実験を断行した際も、麻生太郎首相(当時)は記者から「なぜ国際社会は止められないのか」と聞かれ、「私に答えられる限界を超えている」と発言しました。

こうした政治家では、北朝鮮からこの国を守れない。そして、次に来る中国の覇権主義・軍事拡張にも対抗できない―。この危機感で立ち上がったのです。

「北が核を小型化してミサイルに積むのには時間がかかる」

「いたずらに中国の脅威を煽るべきではない」

そんな声をいただきながらも、私たちは「戦争しないためにも、守りを固めるべき」と訴え続けました。残念ながら、どちらの脅威も現実となっていきました。

トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の"対決"が始まってからも、マスコミの多くは「対話せよ」の大合唱でした。

しかしわが党は、経済的・軍事的に最大限の圧力をかけることで、「無血開城」を実現すべきだと訴え続けました。

米朝会談は「無血開城」だった

私たちは今、会談の結果をその第一歩として、万感の思いで受け止めています。

具体的な非核化プロセスが盛り込まれていない合意文書は、トランプ側の妥協と見える面もあるかもしれません。しかし、ポンペオ米国務長官は「2021年1月までに非核化を実現する」と期限を明言し、時間稼ぎは許さない姿勢を示しています。

「対話」をして北朝鮮に騙されるよりも軍事攻撃をすべきだと主張してきたタカ派のギングリッチ元下院議長も、今回の会談について「その攻撃性と柔軟性により、トランプ大統領は北朝鮮の『開国』を始めている」と評価しています(*1)。

そして、大川総裁の霊言により、会談の内実が限りなく「無血開城」に近いことが分かってきたのです(*2)。総裁がこの10年、心血を注ぎ訴え続けてきた設計図の一枚が、完成したことになります。

くしくも6月12日は、東西冷戦を終わらせたレーガン大統領がベルリンの壁で演説し、ゴルバチョフ氏に対し、「Tear down this wall(この壁を壊しなさい)」と呼びかけた日でもありました。その後、冷戦は核戦争を経ずして終焉しました。

防衛体制の裏づけを持ちつつ、戦わずして勝つ―。これこそ、わが党の理想です。

日本、そして国際社会は、北朝鮮の開国に向けて準備をしなければなりません。

(*1)米FOXニュース。
(*2)本誌10ページ「 金与正守護霊、チャーチル霊、キッシンジャー守護霊の霊言から読み解く 米朝会談の真の勝者は? - 大川隆法総裁 霊言Report 」参照。

次は中国への切り込み

さて、トランプ大統領は、次のステップに進んでいます。さらに巨大な軍事国家である中国に対しても、「戦わずして勝つ」戦略を展開し始めているのです。

それが「貿易戦争」です。

中国は海外の会社に技術移転を強要するなど、知的財産権を侵害し、アメリカは1年間で数千億ドルの損失を被っているとも言われています。

さらに、「貿易不均衡」も深刻で、2017年のアメリカの対中貿易赤字額は3752億ドルで、2016年より8・1%も増加しています。

中国は、フェアではない通商政策で経済成長し、その資金を軍拡に回してきたのです。

トランプ大統領はそこを食い止めることで、軍拡を止め、独裁政権を揺るがし、同時に、アメリカの経済再建と軍事費拡張に入ろうとしています。「中華帝国」の野望を挫き、近未来の戦争を防ごうとしているのです。

日本も、トランプ政権の「単なる保護主義ではない」という真意を汲み取り、ある程度の理解を示す必要があります。

トランプ政権の税制改革などにより米景気は上向き、日本株にも追い風になっています。わが国経済への波及も予想されているのです。それならば日本も、アメリカの製品・資源を買うなどして、「繁栄の循環」をつくっていく必要があります。

そして、北朝鮮・中国が平和裏に自由化されたならば、九州と朝鮮半島の間に海底トンネルを通してリニアモーターカーで結び、中国を経由してヨーロッパともつなぐ。これが、わが党が立党当初より掲げてきた「交通革命」構想です。

私たちは今後も、夢のある国づくりに向けて精進して参ります。


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