釈量子の志士奮迅 [第69回] - 北が消えるか韓国が消えるか 米朝会談が分かれ道
2018.05.29
2018年7月号記事
第69回
釈量子の志士奮迅
幸福実現党党首
釈量子
(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
米朝会談が分かれ道
北が消えるか韓国が消えるか
「分断の終わり、統一の始まり」
先日、韓国視察へ行った際、北朝鮮との間にある非武装地帯(DMZ)の見学ツアーに参加しました。冒頭の言葉は、北朝鮮を一望できる都羅展望台に、掲げられていたスローガン。韓国の人々が、「統一」という言葉にどれだけ熱い想いを持っているのかが、改めて分かります。
しかし問題は、その統一が「自由主義」と「共産主義」の、どちらの下で行われるか。その「決断」へのカウントダウンは、すでに始まっています。
北崩壊も見据えるアメリカ
大きな佳境の一つが、6月12日に予定されている米朝首脳会談です。本コラム執筆時点で、トランプ政権はその本心として、北朝鮮の「体制崩壊」も視野に入れているように見えます。
ボルトン大統領補佐官は、米ABCテレビで、「全ての核兵器を解体して、テネシー州のオークリッジに持って行く」、さらには、「弾道ミサイルや、生物・化学兵器の撤去についても議題に載せる」考えを述べました。「非核化」を大前提として、完全な武装解除を迫るということです。
ボルトン氏は、拉致問題についても確実に取り上げる意思を示しています。
またポンペオ米国務長官は米FOXニュースで、北朝鮮が非核化すれば、アメリカの民間企業が北朝鮮の電力インフラや、農業技術などに投資できるようにすると語りました。しかし、民間企業が入るということは、自由主義世界の情報が内部に流れ込み、過酷な人権弾圧の内情も世界に筒抜けになるということ。独裁政権の存続が、自ずと難しくなりかねない内容です。
さらに「体制保証」に言及したと報じられているトランプ米大統領も、メディアで「完全な破壊」といった言葉で脅す姿勢を崩していません。米朝会談前後の動きいかんでは、朝鮮半島が自由主義下での統一への道を辿ることになります。
迫る米朝首脳会談で、朝鮮半島の命運が変わる。写真:AP/アフロ
自ら「のみ込まれる」韓国
一方韓国内では、自ら北朝鮮にのみ込まれようとする動きも進んでいます。
板門店では4月、南北首脳会談が開かれました。ここで署名された「板門店宣言」の中で、韓国の人々が最も歓喜したのは「(朝鮮戦争の)終戦」という言葉だったとか。
実は今、韓国では体制内部からの「北朝鮮化」が同時に進んでいます。
文在寅韓国大統領は、国内外の混乱に乗じて、憲法改正を推進。改憲案では、「自由民主的な基本秩序に立脚した(南北の)平和的統一政策を樹立し……」という元の条文から、「自由」という言葉が削除されているのです。共産主義の「赤化統一」に向け、着々と準備をしているようにしか見えません。
そんな状況に警鐘を鳴らしているのが、韓国の保守層です。
私は今回の視察で、北朝鮮の体制を残したままでの統一に警鐘を鳴らす「大韓民国非常國民会議」の発起人、徐貞甲・本部長にお話を伺いました。
徐本部長は「『自由』を削除する改憲は、大韓民国の店じまいだ」と強く批判します。
また、こうした改憲が、朴槿恵前大統領の弾劾裁判などのどさくさで行われようとしていることを危惧。「国民の分別力を麻痺させながら、『稲妻で豆を炒って食べる』ようなスピードで、国体の変更をやってのけようとしている」と批判します。
この流れが米朝交渉にも影響すれば、在韓米軍の撤退、そして、北朝鮮に近い体制による統一にもつながりかねません。
これは決して、日本と無関係な話ではありません。
徐本部長は、「大韓民国は、日本の共産化を防ぐ、『理念の防波堤』の役割を担っている」と語ります。実際、もし朝鮮半島が「赤化統一」されれば、対馬からわずか50キロの隣国に、核を持った"北朝鮮"が鎮座することになります。
最悪のシナリオに備えて
民主的統一と赤化統一、どちらに転ぶのか。予断は許しませんが、トランプ大統領が得意の「交渉(ディール)」で、地上の地獄を解放してくれることを信じてやみません。
米朝会談に向けて、金正恩・朝鮮労働党委員長が習近平・中国国家主席に泣きつき、中国の存在感が高まってきました。世界の流れは、やはり米中の衝突に向かっています。神の下の世界秩序を守るためには、アメリカだけではなく、日本が必要です。
珍妙な「9条加憲」などしている場合ではありません。憲法改正や防衛装備強化など「自分の国は自分で守る」体制を構築すべきです。
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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