終身支配体制を確立し権力を掌握する習近平 「党と行政の一体化」の機構改革案が発表
2018.03.23
北京市の天安門広場にある人民大会堂。毎年3月に全国人民代表大会(全人代)が開かれる。
《本記事のポイント》
- 中国の習政権が「共産党と国家の機構改革案」を発表し、「一極体制」を制度化
- 尖閣諸島を監視する海警局が軍事組織になり、一層活動が活発化する恐れ
- 国内権力の掌握とともに進む「世界支配戦略」にも備える必要がある
習近平・中国国家主席は、国内権力を掌握するために様々な改革を本格化させている。
今月初旬に開催された全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では、14年ぶりとなる憲法改正が行われ、習氏の名前を冠した政治思想「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」が憲法前文に盛り込まれた。
また、国家主席の任期も撤廃され、習氏による「終身支配体制」が確立しつつある。
習氏による一極支配が制度化
そんな中、習政権は21日、「共産党と国家の機構改革案」を発表した。同案は約1万9千字に及ぶ膨大な内容だが、その特筆すべき部分は以下の通りだ。
- 外交や経済を統括する党の「指導グループ」をそれぞれ「委員会」に事実上格上げし、党が重要政策を指導する体制を強化。これにより、「党と行政の一体化」を進める。
- 尖閣諸島がある東シナ海などで監視活動を行う「中国海警局(海上保安庁に相当)」が、中央軍事委員会直属の武装警察部隊(武警)に編入される。
- 党中央宣伝部が報道・出版、映画部門を直接管理する。国営メディアの中国中央テレビ(CCTV)と中央人民放送局、中国国際放送局を統合して「中央放送電視(テレビ)総局」を新設。
- 党中央統一戦線部に「国家宗教事務局」を編入。「国家民族事務委員会」も直接指導し、宗教・民族政策を党が一元的に担当する。学校での思想や政治教育を統括するグループも新設。
今回発表された機構改革案は、中国の政府機能を中国共産党に集約し、党の頂点に立つ習氏がすべての権限を掌握する「一極体制」を制度化する内容となっている。
日本の国益に直接的に関わる部分としては、尖閣諸島を監視する海警局が中央軍事委員会の直属の組織になることで、人民解放軍の海軍とも連携しやすくなり、尖閣周辺での活動が一層強化される恐れがある。
また、言論や宗教・思想統制も党が主導することで、愛国的な報道、教育、宗教しか政府に認められなくなる可能性が高くなることも懸念される。
世界覇権を獲得する狙い
国内権力を掌握し、新たな「皇帝」の地位を確立しつつある習氏が、同時に目指しているのは「世界覇権の獲得」だ。
習氏は現在、「一帯一路」構想として「陸のシルクロード」と「海のシルクロード」をつくり、アフリカからヨーロッパまでを影響下に置こうとしている。これは、モンゴル帝国初代皇帝のチンギス・ハンの規模の発想だ(*)。
習氏の世界帝国への野望に警鐘を鳴らし続けてきた大川隆法・幸福の科学総裁は、2017年10月の中国共産党大会閉幕後、古代中国の統一を果たした秦の始皇帝の霊言を収録している。
同霊言の中で、秦の始皇帝の霊が現代の中国や習氏の思想に影響を与えていることが明らかになった。始皇帝の霊は、「 この2千年ぐらいは、ほぼ私が中国を支配している」と述べた上で、「民主主義は幻想」「主権在民はアヘン」「権力者はいつも一握りだ 」と独裁体制を肯定。
習氏については、2100年までを見据えた国家戦略を立てており、世界中から富を奪う「世界支配戦略」を持っていると語った。
具体的には、「 アラブの石油のところを押さえ、イスラムは基本的には呑み込むつもり」「アフリカは、中国の食糧供給先に切り替えていく 」「 ヨーロッパは、中国が必要とする高次な発展したものを委託してつくらせる工場 」などと言及している。
こうした「世界支配戦略」は、現実的にも明らかになっている。習氏による支配体制強化など一連の改革として、日本とアメリカを中心とする自由主義陣営の諸国は、中国の野望に対抗していく必要がある。トランプ米政権が明確に中国の覇権拡大を敵視し、様々な経済・軍事政策を具体化させている今は、その絶好のチャンスと言えるだろう。
(*)幸福の科学の霊査によれば、チンギス・ハンの過去世は習近平国家主席である可能性が高い。(『世界皇帝をめざす男―習近平の本心に迫る―』参照)。
(小林真由美)
【関連書籍】
幸福実現党刊 『世界皇帝をめざす男』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=53
幸福の科学出版 『秦の始皇帝の霊言 2100 中国・世界帝国への戦略』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1933
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