日本版カジノは入場料2000円 依存させながら、依存対策をする矛盾

2018.02.23

《本記事のポイント》

  • 日本版カジノは「依存症対策」のため入場料2000円
  • 「カジノの中では合法、カジノの外では悪影響で禁止」の矛盾
  • 「反社会勢力の温床にもなる」ことを百も承知の上で解禁する政府

政府はこのほど、カジノを解禁して整備する「IR・統合型リゾート施設」について、日本人と日本に住む外国人の客を対象に、1回あたり2000円の入場料を徴収する方針を示した。ギャンブル依存症の防止につなげる狙いだ。

「ギャンブル依存症」を防ぎたいなら、始めから「ギャンブルで経済活性化する」という手段に訴えるべきではなかっただろう。

「カジノの中では合法、カジノの外では悪影響で禁止」の矛盾

そもそも日本では、カジノの中で行われるギャンブル行為を外ですれば、警察が来る。

単純賭博罪185条には、「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する」とある。

賭博場開帳罪・博徒結合罪186条2項では、「賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する」とある。

なぜ政府は賭博を禁じているのか。最高裁判例では次のような主旨で説明している。

「勤労などの正当な理由ではなく、単なる偶然によって金品を得ようとするゲームのような行為は、国民に怠惰・浪費をさせるといった悪弊を生み、憲法で定められた『健康で文化的な社会』の前提になる勤労のよき習慣を害するだけではなく、ひどい場合は、暴行、脅迫、殺傷、強窃盗その他の副次的犯罪を誘発し、国民経済の機能に重大な障害を与える恐れすらある」(最高裁判所昭和25年11月22日大法廷判決を分かりやすくしたもの)

つまり、賭博は「人や社会に害を与える」というはっきりとした理由で禁止されている。それを「国がお墨付きを与えた」「政府の税収が増える」「カジノ事業者の利益の一部が公益事業に回される」という理由で解禁してしまうのは、筋が通っていない。いくら経済的なプラス面が強調されても、人や社会への悪影響がなくなるわけではないのだ。

反社会勢力の温床にもなる

例えば韓国で2000年に「地域おこし」の一環としてカジノ施設がつくられた。その周辺には、数多くの「質屋」が並んでいる。つまり、持ち物を全て換金してまでのめりこむ人が数多く出ているということだ。

こうしたカジノ周辺の質屋や闇金融には、暴力団の関係者が入り込む可能性も高い。特に日本の場合、「暴力団排除条例」などで追いつめられた暴力団が、資金源を探しあぐねている。彼らにとって新しくできるカジノは、"ビジネスチャンス"に映っているだろう。

またカジノは、マネーロンダリングの舞台になることも多い。マフィアや国際テロ組織、麻薬業者が日本に"上陸"してくることも、大いに予想される。

政府はカジノ設置に際して、こうした反社会勢力を取り締まる体制も強化する。リスクがあることは百も承知の上なのだ。

消費促進・税収確保に焦っているのは分かるが、政府としては「ならぬものはならぬ」と筋を通すべきではないか。

(馬場光太郎)

【関連記事】

2016年12月18日付本欄 「カジノ法」「休眠預金活用法」は共産主義的な発想?【大川隆法 2017年の鳥瞰図(2)】

https://the-liberty.com/article/12370/


タグ: 暴力団  依存症  カジノ  闇金融  反社会勢力  マフィア 

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