例えば荒川の下町にはこんな可能性がある――西野アキラ【都議選・もっと身近な東京問題】

2017.06.23

Phillip Maguire / Shutterstock.com

荒川区代表

西野 アキラ

(にしの・あきら)1977年東京都生まれ。足立学園高等学校、國学院大學卒業後、幸福の科学に奉職。

東京都議選が23日に告示される。都政のあり方について、さまざまに議論する格好の機会だが、同時に、「各地域の都市開発の青写真」も描くべき時ともいえるだろう。

「東京に都市開発など、もうできる余地はない」と感じている人も多いかもしれないが、そんなことはない。どの地域にも、課題と可能性が数多く眠っている。

例えば、筆者が主に活動している荒川区の下町エリアを例に考えてみたい。

都電荒川線をスカイツリーまで!?

荒川区の交通の最大の特徴は、「都電荒川線」だ。荒川区のほぼ真ん中を、真横に走り、縦に走る明治通り、尾久橋通り、尾竹橋通り、千代田線、京成線、日暮里・舎人ライナーなど、主要な道路や線路と交わっている。

交通の背骨とも言え、発展の鍵を握る線なのだが、西側3分の2にしか通っておらず、「三ノ輪橋駅」という所で止まっている。

これをさらに東に延伸させ、最近栄えつつある南千住の駅前や、再開発された汐入地区にまでつなげると、経済効果はさらに高まるはずだ。

特に、汐入地区は若者世代の夫婦が流入し、朝の交通渋滞なども増えつつある。荒川線を延伸させれば、主要鉄道の混雑緩和と、交通の分散化を図れるはずだ。

さらには、隅田川沿いを走らせながら、台東区の浅草駅やとうきょうスカイツリー駅にまで延伸させることも考えられる。これらの地域に数多く来ている外国人観光客を、荒川に呼び込みやすくなる。

また、区の全域に荒川線が走ることは、ご高齢の方にとってもメリットが大きい。荒川の中で、南千住のような賑わったエリアに行くための交通網があまりない。地域を回っていても、高齢になり、自転車も乗れなくなっている方は増えている。ゆっくり歩いて乗り降りできる都電が延伸すれば、地域の足としてより活躍の場が広がるだろう。

町屋は「高齢者のコンパクトシティへ」

また、こうした交通網の拡充と、各下町エリアの再開発を組み合わせることで、相乗的な経済効果が見込める。

例えば、再開発の可能性として注目しているのが、荒川区の真ん中に位置する町屋エリアだ。荒川には高齢の方が多いので、「高齢者向けのサービス」が集中した、コンパクトシティをつくるという発想はどうだろうか。

コミュニティバスのすべての結節点とし、行政サービス、医療、福祉、ショッピングなどの施設を集中させて、高齢者の住みやすいタワーマンション(条例等で容積率を緩和させる)などを建てる。

南千住「貨物列車専用発着駅」に繁華街!?

最近開発が進んでいる南千住を、さらに発展させる構想もあり得る。実は、荒川区には映画館がないなど、本格的な繁華街が見られない。

そこで、例えば、南千住駅に隣接する、貨物の輸送に利用されているJR隅田川駅の広大な土地を大規模開発するのだ。これにはJRとの交渉が必要になるだろうが、敷地内を整備しつつ、耐震デッキをつくり二階建てにする。二階部分には、ショッピングエリアや、映画館、企業の本社、研究機関、ホテルなど、様々な施設を誘致する。

日暮里は「ものづくり集積エリア」へ

日暮里・西日暮里エリアは、「ものづくりの集積エリア」として開発することが考えられる。

荒川区自体が「ものづくりの場所」と言われており、ものづくりの匠を表彰する「マイスター制度」というものがあるほど。しかし、その「匠」たちの店は区中に点在している。そうした方々を、この地域に集まって頂いてはどうか。

技術を集積させ、例えば「ものづくり塾」のようなものを開いて、若者や海外の方への技術支援・技術継承ができる場としていく。最近、日暮里は世界中から、ファッションや繊維の街として注目されている。これをさらに発展させて、日暮里から世界に文化を発信していく、「日暮里ドリーム」のようなものを実現することも考えられる。

このように、さまざまなエリアの特色を伸ばして発展させ、それぞれを都電を始めとする交通網で結ぶことで、地域のヒト・モノ・カネ・情報が、より早いスピードで動くようになるだろう。

防災面からの改革も

こうした再開発をする際には、防災の観点も忘れてはならない。

地震があった際の「危険度ランク」というものがあり、1~5の五段階で評価される。荒川区のほとんどの地域は、実は3~5と評価されている。木造密集地帯が多いため、火災が延焼する可能性が高いのだ。

筆者もよく、町内の方々と地域を回る。そこで気づくのは、昔の田んぼのあぜ道が、そのまま道路になっているところが多いこと。道が非常に細いのだ。広い道路があれば、「延焼遮断帯」となってくれるが、細ければ、強風で火がすぐに道路を越えて、燃え広がってしまう。こうした防災上の課題も、都市開発の際には解消していく必要がある。

例えば、常磐線・日暮里駅~南千住駅間の老朽化した高架の耐震強化と合わせて、その沿線及び駅前周辺を再開発すれば、もう一段、災害に強い街を形成することが可能だ。

また、都電沿線の各駅を中心とした不燃化事業と共に、店舗が入れる中低層ビルを建設すれば、地域振興にもつながる。ファミリー層、若年層を呼び込むには、雇用があるかどうかが重要となる。お金が落とされる場所を創れば、雇用が生まれ、若い働き手も集まりやすくなるはずだ。

こうした「下町ライフ」のモデルを、荒川から発信してはどうだろうか。

今の都政を見ていると、さながら「サル山の権力争い」のような状況を呈しており、都民を置き去りにしていると言わざるを得ない。政治家の権力争いに、都民はもううんざりしているのが実情だ。政局争いではなく、下町開発など、もっと都民に身近な生活改善について、真摯に議論をするべきではないだろうか。

【関連サイト】

幸福実現党 東京都議選 特設ページ

https://hr-party.jp/senkyo/2017togisen/

【関連記事】

2017年6月21日付本欄 予防医療で元気に長生き――安原ひろし【都議選・もっと身近な東京問題】

http://the-liberty.com/article.php?item_id=13176


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