米名門大学が「奴隷制の反省」 アメリカが人種差別を乗り越えるには

2016.09.05

米ワシントン州のカトリック系名門校、ジョージタウン大学が、過去奴隷制によって利益を得ていたことに対する謝罪を、1日、表明した。また、同校で歴史学を研究するデイビッド・コリンズ准教授は、同様の主旨の寄稿をニューヨーク・タイムズ紙(2日付)に寄せている。

同大学の謝罪表明に関しては、米報道番組PBSニュースアワー(1日付)が報じた。このニュースの概略は、以下の通り。

  • ジョージタウン大学は、1838年、272人の奴隷をルイジアナ州に売却したが、これによって得た利益の15~20%がジョージタウン大学の借金返済に使われた。

  • 奴隷制によって利益を得ていたのは、ジョージタウン大学のみではない。アメリカ革命(アメリカ独立戦争)以前に建てられた9つの大学は全て奴隷商人や奴隷所有者によって創設された。

  • アメリカ革命以後も1800年まで毎年一校ずつ、17の大学が建設されたが、これらの大学は独立戦争の痛手を「奴隷経済」によって回復した恩恵によるものだ。

当時アメリカの大学が、いかに奴隷経済に依存していたかが分かる。

寄稿したコリンズ氏は、学者として、そしてカトリック・イエズス会の神父として、アメリカは「奴隷制の歴史」を反省すべきだとしている。その寄稿内容は以下の通り。

  • イエズス会は過去奴隷制度を認めており、カトリックの神父や教育基盤はこれらの奴隷労働によって収益を得ていた。奴隷の売買による利益のおかげで、伝道活動や教会、学校の組織化が進んだ。

  • 1634年にメリーランド州で始まったイエズス会には、輝かしい歴史も多数あるが、それと共に人種差別や偽善、残虐行為という「暗黒面」が存在したこともまた事実だ。2世紀に渡る、イエズス会の奴隷保有や奴隷売買はまさしくそれである。

  • 奴隷制は我々の歴史であり、我々はその歴史を継承する子孫であるのだ。アメリカは、その酷い奴隷制の歴史なくして、アメリカ足り得ない。

そして、「国としてそのこと(アメリカが奴隷制の歴史の上に存在していること)を理解しない限り『全ての人民への自由と正義』はない」と文を締めくくっている。

アメリカにいまだに残る人種差別

アメリカの奴隷制は、リンカン大統領、キング牧師など、偉大な先人たちが人種差別に立ち向かうことで撤廃され、黒人も平等に選挙権を持つようになった。

しかし、いまだアメリカでは人種差別の問題が後を絶たない。白人警察による黒人の射撃事件、そしてそれに対する報復として白人警察が殺害されるという痛ましい事件も記憶に新しい。

白人が黒人に生まれ変わることも、その逆もある

人間は、人種や肌の色によって価値が決まる存在ではない。人間の本質は魂であり、魂を向上させるべく、何度も地上に生まれてきては、異なった環境や人間関係の中で経験を積んでいる。

つまり、過去白人として生まれた人が、黒人や黄色人種として生まれることもある。キリスト教徒として生きた人が次の人生ではイスラム教徒になることもある。

こうした生まれ変わりの真実を知れば、人種差別がいかに愚かであるかが分かる。

今回の謝罪表明や寄稿に表れる「歴史を真摯に反省する」姿勢と、生まれ変わりの真実が、アメリカ全土に広まることが望まれる。(片)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『ネルソン・マンデラ ラスト・メッセージ』 大川隆法著

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タグ: 独立戦争  アメリカ  生まれ変わり  ジョージタウン大学  イエズス会  奴隷  謝罪  人種差別 

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