釈量子の志士奮迅 [第44回] - "地方起業家"こそ日本の英雄
2016.03.29
2016年5月号記事
第44回
釈量子の志士奮迅
幸福実現党党首
釈量子
(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
"地方起業家"こそ日本の英雄
広い家は、人格をも変えてしまうのでしょうか。
先日、「俺は結婚しない」と豪語していた友人が、とうとう結婚しました。驚くほど若い奥さんをもらい、ご機嫌です。
彼は、1日に3回書店に行くほどの本好きでした。家族を持つことに対しては、「本に使う時間・お金・スペースがなくなる」などと言っていました。そんな彼を、何が変えたのか。
もちろん第一には「愛」でしょう。しかし政治の視点から見れば、東京から千葉県の外房に転勤したことが大きいようです。
最初は、「書店も刺激もない。絶対行きたくない」と言っていたのですが、海に近いゆったりした生活空間で、とたんに家族がほしくなったそうです。遠方から両親を呼び寄せ、半ば同居。気付けば、職場で知り合った女性とゴールインしていました。
ここに、日本の人口減少を解決するヒントが見えてきます。
広い住宅があると、人は心理的にも結婚・出産したくなるようです。企業でも、「地方に赴任させたとたんに子供が3人」というような話はよく聞きます。
地元に残れば生んだのに
逆もしかりです。都会に向かった若者は、狭い家に閉じ込められ、地方なら生んだかもしれない子供を生みません。
そして今、問題は地方から若者が流出していること。その地域のみならず、日本全体の人口減少も進んでいきます。
しかし今の若者は、一昔前ほど「東京への憧れ」「都会志向」というものはないと言われています。「できれば、家族と一緒に地元にいたい」と願う層が、増えています。それでも都会に向かわざるを得ない理由は、仕事がないこと。背に腹は代えられないわけです。
実際、景気の良かった1980年後半から90年初めは、東京圏への流入は年々、減少していました。しかし、バブル崩壊後から流入が増加したのです。
日本の人口減少の解決の鍵は、「地方でいかに仕事を生み出すか」と言えます。
足りないのはお金じゃない
地方で仕事を生み出す取り組みとして、安倍政権は補助金・交付金を組むなど、お金を撒くことを中心としています。
しかし、過去の政治家が地方活性化と称して、大規模なバラマキを行った例はいくつもあります。どれも、際立った成果を上げていません。
特に今は、日銀がいくら金融緩和をしても、企業がお金を使わないことが問題になっています。日本に足りないのはお金ではありません。むしろ「そのお金が、次の富を生む使い方」、つまりアイデアが足りないのです。
先に紹介した千葉県の外房にある一宮町は、サーフィンスポットとして打ち出すことで、移住者を増やしています。東京の会社員が、サーファー向けの不動産会社を立ち上げたり、都内の比較的お金のある愛好家が、休日にサーフィンを楽しむうちに仲間ができ、家を買う例も増えています。
そこで生まれる需要を狙って、次はどんな事業が生まれるのでしょうか―。このサーフィンによる経済効果は、「サーフォノミクス」とも言われています。
サーフィンに適した地形という"資産"をテコに、一つの経済圏が生まれつつあるのです。
各地域の強みを、「藁しべ長者」のように活用して事業を膨らませ、地域を活性化させるのがアイデアの力です。
都会でビルに囲まれて働くよりも、地方で事業を開拓することに、魅力を感じる若者もたくさんいるのではないでしょうか。
千葉県一宮町。 サーフィンによる経済効果は「サーフォノミクス」と呼ばれている。 sorakara / PIXTA(ピクスタ)
アイデアが種で、お金は水
日本がするべきことは、こうした事業の種や芽を育てることです。ただ、種も芽もないのに水を撒いても意味がないように、事業のアイデアがない中で、お金を撒いても意味がありません。
大事なのは、種や芽が育つ土壌づくり。それは、減税して景気をよくすること。そして、規制緩和し、起業家を歓迎する空気をつくることです。
イノベーションの原理を提唱した経済学者のシュンペーターは、「企業家は現代の英雄である」という趣旨のことを言っています。
幸福実現党は、地方を救う英雄である起業家が生まれやすい環境を生むことで、地方活性化や人口減少の課題に取り組んで参ります。
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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