左翼政権の集大成 オバマ氏の一般教書演説
2016.01.14
米オバマ大統領が12日、米議会合同会議の場で、2016年度の一般教書演説を行った。
一般教書演説は、「国の現状」や「1年間、国として取り組むべきこと」を提示するためのものだ。
大統領として最後の年に入ったオバマ氏が抱くビジョンとは、どのようなものなのだろうか。
7年前から変わらないオバマ氏
オバマ氏は、4つの主要論点を中心に考えを示した。
- 1.新しい経済の中で、全員に公平な機会を与えるには、どうすべきか。
- 2.地球温暖化などに対抗するために、どのようにテクノロジーを駆使すべきか。
- 3.「世界の警察」にならずに、アメリカを守り、世界をリードするには、どうすべきか。
- 4.我々の内に宿る最悪のものではなく、最高のものを、どのように政治に反映させるべきか。
これらの質問に対するオバマ氏の答えは左翼的なもので、彼が7年間提唱し続けてきた内容と変わらない。
演説の中でオバマ氏は、経済的な「公平性」を追求するために、「最低賃金の引き上げ」や「失業保険の充実」を支持し、「富がトップ層に集中している」ことに苦言を呈した。
また、安全保障面では、「我々の最優先事項は、アメリカ国民を守ることと、テロ組織と戦うことだ」とした上で、「アメリカは世界中で『国造り』をすべきではない。(中略)それがベトナムやイラクの教訓だ」と指摘。シリア内戦などに対応するためにも、世界各国と協力して当たり、シリア内部の勢力を支援すべきだとした。
北朝鮮が水爆実験を行ったと発表し、中国が覇権を拡大する中にあって、東アジア情勢への言及は見られず、関心の薄さを示した。
オバマの演説は、「大きな政府が国民の面倒を見る」「世界から退いていく」アメリカを象徴しているかのようだ。
選択の時を迎えたアメリカ
オバマ氏の4つ目の論点は、保守や左翼が、思想や信条の対立を乗り越えて協力しあうべきということだ。
アメリカ社会はここ十数年の間、「両極化が進んできた」とされ、保守と左翼の意見がそれぞれ極端になって、折り合いが付けづらくなっていると言われている。
オバマ氏の演説は、「社会保障の充実」と「国防費の削減」を唱える民主党の意見を反映したものとなった。これに対して、トランプ氏を初めとする共和党の大統領候補者たちは、「社会保障の削減」と「国防強化」の必要性を主張している。
オバマ氏の任期中に世界中で起きた混乱を見れば、どちらがより正しいかはおのずと見えてくるはずだ。
軍事介入すべき時に躊躇し、もしくは退くべき時でない時に米軍が退くことで、世界中で混乱が起きている。
また、「大きな政府」や「社会保障」に依存することなく、自助努力で未来を切り開いていくことが経済的繁栄の王道と言える。
両極の間で揺れるアメリカが、「衰退」するか、「強いアメリカ」を取り戻すのか。2016年の大統領選挙は、アメリカにとって大きな岐路となりそうだ。(中)
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