アメリカが、内戦で混乱するシリアに初めて地上部隊を派遣することを決めた。

各紙の報道によると、派遣されるのは50人未満の小規模の特殊部隊。任務は、米軍の空爆の誘導やアサド政権に対抗する反体制派への支援に限定。イスラム国掃討作戦には、直接、参加させないというオバマ米大統領の方針は変わらないという。

「世界の警察官ではない」と逃げたオバマ大統領

オバマ氏は2013年9月、シリア内戦に関するテレビ演説の中で「アメリカは世界の警察官ではない」と発言。シリア政府軍が化学兵器で民間人を虐殺し、シリア全体で10万人近くの犠牲者が出ていたにもかかわらず、アメリカは軍事介入を見送った。その後、内戦が激化し、アサド政権、反体制派、イスラム国のほか、各陣営を支援するロシアやアメリカなどを巻き込んで、憎しみの連鎖が拡大した。

当時、オバマ氏がシリアへの軍事介入を見送った理由は、主に以下の3点だ。

  • (1) 財政再建のために軍事費を削減したい。

  • (2) 世界のリーダー国家として行動するより、国内問題の解決を優先したい。

  • (3) 米兵に犠牲者が出ると、国内から批判され、支持率の低下につながる。なるべく対話で解決し、武力戦争を避けたい。

アメリカが早く介入していれば、難民やテロの拡大は防げたはず

アメリカは、2014年の夏からシリアで行っている空爆では、イスラム国を壊滅できない現実を突き付けられている。また、穏健なスンニ派の武装勢力に武器や訓練を提供し、アサド政府軍やイスラム国と戦わせる、というオバマ氏の戦略も上手くいっていない。

失敗続きのオバマ氏が「とにかく何かをしなくてはいけない」と踏み切ったのが、今回の地上部隊の派遣と見られているが、小規模の特殊部隊が戦局を大きく変えられるか、未知数だ。アメリカが早い時点でシリア内戦に介入していたら、現在のシリアを中心とした中東の混乱や、ヨーロッパにまで波及している難民やテロ行為もある程度抑えられただろう。

アメリカの「進むべき道」は、2012年に示されていた

実は、オバマ氏の"問題発言"の一年前、2012年9月時点で大川隆法・幸福の科学総裁は、アメリカの進むべき道をこう指し示していた。

アメリカのオバマ大統領は、お金が惜しいため、あまり介入したくなくて、介入が遅れています。しかし、死者の数から見ると、この段階で介入していなかったら、はっきり言って、アメリカではありません。アメリカとしての使命を放棄していると思います 」(『国を守る宗教の力』所収)

続けて、日本に対して次のように警鐘を鳴らした。

今、それだけアメリカの国力が弱っているのであれば、『日本に対しても、同じことが起きる』と考えなくてはいけないでしょう。『中国や北朝鮮、韓国等と日本との間で、何か国際紛争が起きたときにも、アメリカは、同じような態度を取る可能性が高い』と考えなければいけないと思います 」(同)

今回のアメリカの地上部隊の派遣は、あまりにも遅く、あまりにも中途半端な動きだ。こうしたアメリカの現状を見れば、日本は独力で国を守る力を持たなければいけないことが分かる。(真)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『国を守る宗教の力』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=816

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2015年12月号記事 シリア内戦 米露の"正義"を日本が取り持て - The Liberty Opinion 1

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