英インディペンデント紙がこのほど、地球の近くを5.4兆ドル(約670兆円)相当の隕石が通過したと報じている。同紙によると、隕石は地球から見て月の6倍離れた地点を通過したという。
UW-158と命名されたこの隕石の「値段」は、その中心が約1億トンのプラチナでできていることからくる。
「隕石鉱業」に乗り出す民間企業
普通「地球に近い隕石」と言われてすぐに思いつく質問は、「地球に当たるのかどうか」といったことかもしれない。
しかし、太陽系創造の初期から存在するとされている隕石は、金・銀、パラジウム、プラチナ、タングステン、チタンなどの資源を大量に含んでいることが多い。そのため、地球に比較的近い距離を通過する隕石は将来、「隕石鉱業」の対象に成り得るとして、一部の企業や起業家に注目されている。
例えば、グーグル創始者のエリック・シュミッド氏やラリー・ペイジ氏が融資している米プラネタリー・リソーシズ社は、まさにこのような試みのために創られた会社だ。
1967年に締結された宇宙条約では、どの政府も天体を所有することができないとしている。しかし、この条約は民間企業には適用されない。そのため、企業や個人が隕石まで辿りつき、資源を採掘する能力があれば、競争相手がいない場所で利益を独占できる。
「隕石鉱業」をするための技術はまだ発展途上だ。しかし、プラネタリー・リソーシズ社はこのほど、隕石鉱業に必要な飛行技術、制御システム、そしてソフトをテストするために、国際宇宙ステーションから試験飛行体を発射させた。研究は着々と進んでいる。
宇宙開発を担う起業家求む
日本のように天然資源が少ない国にとって、宇宙からほぼ無尽蔵に資源を賄うことができれば、経済的にも安全保障面でも大きな意味を持つ。
もちろん宇宙条約上、民間企業がやらねばならない。そのため、採算を採ることは大きな課題となる。しかし、技術力の向上につれて、コストが下がれば、いずれ事業として成立するかもしれない。
宇宙開発は、「政府がやるべき事業」と思うかもしれないが、必ずしもそうではない。スペースXやグーグルなど、宇宙産業に積極的に関わろうとしている民間企業は多い。日本にいま必要なのは、民間の中から大きな事業を立ち上げる起業家ではないだろうか。(中)
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