ブラーマ・チェラニー

プロフィール

(Brahma Chellaney) インド・政策研究センター教授。戦略問題専門家。インド外務相の政策顧問団メンバー。2001年までインド政府国家安全保障会議(NSC)顧問として対外安全保障グループ座長を務めた。著作に『中国、インド、そして日本の興隆』など。

現在、書店に並んでいる本誌7月号では、中国の「サラミ・スライシング戦略」について訴えてきた、インド・政策研究センター教授のブラーマ・チェラニー氏に、インドの立場から中国の脅威について話を聴いた。誌幅の関係上、本誌に収録できなかった内容を含め、2回にわたってお送りする。2回目は中国の経済進出や、日印の協力について。

――インドはアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創立メンバーに加わりましたが、あなたはAIIBへの参加について、どのようにお考えですか。インドにとって、参加するメリットとデメリットは何でしょうか。

ブラーマ・チェラニー(以下、チ): 中国とインドは新興5カ国(BRICs)のメンバーです。非西洋国にとって、BRICsは冷戦後の世界戦略において重要なものとなってきました。BRICsはこれまで、「新開発銀行」をつくることに合意しており、本部は上海に置かれる予定で、インド人が初代総裁になることが決まっていました。ですから、中国がAIIBの構想を明かした時、インドは参加することに同意したのです。