米ボーイング社が、「プラズマシールド」の特許を取得したことを、米CNNなど欧米メディアが報じている。まるでSFに出てきそうな名前の技術だが、銃弾やミサイルそのものをはね返すようなものではない。爆発が起きた際の衝撃波を和らげるものだ。
例えば、紛争地で、「プラズマシールド」の機能を備えた装甲車の近くで爆発が起きるとする。すると、車に搭載されたセンサーが瞬時に爆発を感知し、コンピューターが衝撃破までの距離、威力、速度を計算。爆発の衝撃破が車に到達する前に、爆発物と車の間の空気を、複数のレーザーで加熱してプラズマに変えてしまう。
プラズマ化した空気は普通の空気より重いため、衝撃破を吸収・拡散・緩和する役割を果たし、衝撃破で車がひっくり返ったり、破損したりすることを防ぐ。
特許に描かれた設計図は、装甲車の防衛に焦点を置いているが、この技術は艦船、潜水艦、建物などのさまざまな防衛にも使えるはずだ。もっとも、この技術はまだ開発途上にあり、実用化までには越えなければならない技術的な壁が多くある。
ただ、このような軍事技術は、開発が進めば民間でも使えるという利点がある。実際に、インターネットやGPSなどといった技術は、元々、米軍が開発したものであり、それを民間に転用したに過ぎない。今回の「プラズマシールド」も、まだ開発の途中とはいえ、SFで見るような「シールド」が実現すれば、それが民間で事故や犯罪の抑止に使えることは明らかだ。
日本の防衛産業は、欧米のそれと比べて発達が遅れているが、それは国防だけでなく、経済の国際競争力にも悪影響を及ぼす。「軍事技術イコール戦争」というマイナス面ばかり見るのでなく、物事の良い面や軍事技術が国民を守るという面も見なければならない。
日本は軍事技術や宇宙技術など、先進国として当然研究を進めるべきだ。それは、国の防衛だけでなく、経済発展を促したり、国民の生命や安全を確保するものでもある。(中)
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