三越伊勢丹ホールディングスは、傘下の百貨店の販売員について、販売実績に応じた給与体系を導入すると発表した。昨年4月に消費増税が行われた後、GDPは2期連続でマイナス成長となり、景気は悪化。そんな中、優秀な販売員を育てることで、他社との競争に生き残りをかけている。

生き残りをかけた「販売力」向上

同社の平均的な販売員の年間売上額は2~3千万円だというが、中には年間2~3億円を売り上げるカリスマ販売員もいる。しかし現在、両者の給与差は月1万円程度にすぎない。そこで2015年度からは、販売成績の上位者を対象に実績に応じた給与を支払い、来年以降、対象を拡大していく。最も優秀な販売員は、役員並みの給与水準にするという。

同社は現在、コスト削減のため、企画・生産から販売まで一貫して手がける自社製品の開発に取り組んでいる。ただ、メーカーから仕入れる手法と違って返品ができないため、売り切る必要がある。これまで以上に、販売力を強化する必要に迫られているという事情もある。

社員が生む付加価値が会社も国家も発展させる

三越伊勢丹の取り組みは、「優秀な販売員が会社を支えている」ということを内外に明確に示したようにも見える。会社は、社員の生む付加価値によって大きくなるものだ。

小売業における付加価値は、販売員の接客が顧客から評価され、支持された結果、売り上げが上がることで生まれる。つまり、顧客の満足が最も大きくなるように、商品やサービスと顧客をつなぐ努力が必要になる。販売員の仕事は、単なる流通過程の一部でもないし、いわんや押し売りとは訳が違う。

政府は景気の低迷を受けて、昨年末に3.5兆円規模の経済対策を発表したが、中には、消費喚起のための「プレミアム付商品券」の発行支援など、バラマキ型の施策も見受けられる。根本的に景気を回復させ、消費を活発にして日本経済を発展させるのは、付加価値を生み出す社員を擁する企業が増えることであると、政府は気付くべきだろう。(晴)

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