理化学研究所はこのほど、小保方晴子氏が進めていた検証実験において、STAP細胞がつくれなかったことを発表しました。同時に、小保方氏の研究とは別に理研独自で進めていた検証実験もやめ、STAP細胞の実験を打ち切りました。
筆者は、4月9日に大阪で開かれた小保方氏の会見に出席しましたが、今回の実験で現時点において、万能性遺伝子の働きを示す、いわゆるSTAP現象を確認できなかったことは残念です。ただ、「現時点において」という部分を強調したいと思います。
12月19日の理研の会見でも指摘されましたが、今回の理研の結論は、「STAP細胞は存在しなかった」ということではありません。あくまで、「限られた時間の中で、再現できなかった」ということです。
「犯罪人扱いしての検証はあってはならないこと」
小保方氏の検証実験は、9月中旬から11月末までの2カ月半という限られた時間で行われました。理研は、不正などが行われないように、専用の実験室を用意し、2台の監視カメラで室内を24時間録画し、入退室はIDカードで管理した上で、さらに常に第三者の"監視役"が立ち会うという異例の態勢を敷きました。
しかし、こうした状況について、実験の打ち切りを発表した12月19日、理研の検証実験チームリーダーを務める相沢慎一特別顧問は、一度は会見場を後にしましたが、1人だけ引き返してきて、「1つだけコメントさせてください」とマイクを握り、報道陣に次のような反省の弁を述べています。
「モニターを置いたり、立会人を置いて検証実験をするのは科学のやり方ではない。そういう風な検証実験をしてしまったことに対して、責任者として責任を感じています。今後何かあるたびに、このような犯罪人扱いしたような形で、科学の行為を検証するということは、科学にあってはならないことだと思っています。そのことに関しては、深くお詫びを申し上げるとともに、責任を痛感しております」
科学の世界では、過去に人類の「常識」を覆すような発見や発明が数多く行われてきました。しかし、もしそうした実験を、懐疑的な人々の監視下で、限られた短い時間で成功させなければならないという制約があったならば、果たして世界的な発見・発明は生まれたでしょうか。
またそれ以前に、マスコミが、裏取り取材をしているかどうか極めて怪しい人間関係などについて面白おかしく報道して、誹謗中傷を行っていました。そうした精神的に追い込まれた環境の中で、落ち着いて実験を成功させることができるでしょうか。
2時間の質疑応答でメモをとらなかった小保方氏
例えば、小保方氏は4月の会見でも実験ノートが数冊しかなかったことを批判されました。しかし、筆者は、この会見を通じて「この人はノートにメモをしなくても、すべて頭の中に入る人なのだな」と感じることがありました。
それは、2時間半の会見のうち、後半の2時間が質疑応答でしたが、約300人の記者から矢継ぎ早に、時には1人の記者がまとめて3つの質問を浴びせるような中で、小保方氏は一度もメモを取らずに、1つひとつの質問に丁寧に答え切っていたからです。
批判している人々さえ救う可能性のあるSTAP細胞
再生医療に分類される今回のSTAP細胞の研究は、生命創造の謎に迫る研究と言ってもいいでしょう。こうした研究の場合、物理的な現象のみでは説明できず、目に見えない霊的な作用や支援、インスピレーション(霊感)などが関係していると思われます。
しかし、霊的な現象に近いであろうこの実験を、懐疑的な思いを持つ人々に囲まれた中で成功させることはかなり困難であることが推察されます。また、実験が許された2カ月半という期間が、果たして適正だったのでしょうか。
今回の結果をもって、「STAP細胞は存在しない」というのは早計です。
作製技術が確立すれば、現在苦しんでいる人々のみならず、後世の人々の苦しみをも取り除くことにつながるでしょう。そしてまた、この技術は将来的に、小保方氏を誹謗中傷するマスコミやネットにうわさ話を書き込む心ない人々、その子供や孫、親族、友人・知人さえも助けることになるかもしれません。
いまSTAPの技術をつぶすことは、人類にとって大きなマイナスです。STAP細胞を死なせてはいけません。小保方氏の研究をつぶしてはいけません。心身ともに疲労している小保方氏には、しばらく落ち着いた環境で体を休めてもらい、改めて別の環境でSTAPの技術を確立させてもらうことを望みます。(格)
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