14日の衆院選投開票日が迫る中、各党とも政策PRに力を入れている。駅前などで連日行われている街頭演説に加えて、テレビCMも放送されている。

その中でも、5日から放送が開始された民主党のCM「女性の味方編」が話題に上がっている。

CMには、3人の女性が登場。それぞれ「夢は正社員になること」「安心して子育てをしたい」「お金をためて結婚したい」と笑みを浮かべながら語っている。

「民主党は女性の味方である」ことを訴えたかったのだろうが、その意図とは裏腹に、CMを見た有権者からの評価は厳しい。「目標じゃなくて夢なのか」「正社員か契約社員か選べないのはおかしい」「女性を馬鹿にしている」などの批判の声が上がっている。

民主党のCMからは国民に大きな国家ビジョンを示すといった政治家の気概が感じられない。結婚や正社員になる夢を叶えるという程度なら、あまりにも志が低いと言わざるをえない。

こうした民主党の政策の背景にある思想は、「最小不幸社会」の実現だろう。しかし、「最小不幸社会」は、結局国民全員を貧しくしていく道であることを、民主党自身が"証明"してきた。

子ども手当や高校の無償化、農家の戸別所得補償など、民主党が与党時代に実施したバラマキ政策はことごとく失敗し、赤字を増大させた。「消費税は4年間は上げない」と言ってきたのに、消費増税を主導し、国民に余計な負担を強いることになった。

民主党は今回の衆院選で「今こそ流れを変える時。」というキャッチフレーズを掲げているが、根本の政治思想は与党時代と全く変わっておらず、民主党では「流れ」が変わることは期待できないだろう。

このCMには、さらに問題点がある。それは、「正社員が善」や「非正規社員が悪」といった特定の価値観を国民に押し付けていることである。

安倍政権は、「社会のあらゆる分野で、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする」とマニフェストで謳い、企業に賃上げも要求している。これは企業にとっては圧力そのもので、アベノミクス行き詰まりの一因であることを本誌は指摘してきた。

だが、民主党はそれに輪をかけて問題だ。ワークライフバランスを重視する人もいるなど、仕事観は人によって様々であるし、どのような雇用形態をとるかは、企業の経営努力の範囲内だ。こうした民主党の価値観の押し付けは、国民のみならず企業の自由をも圧迫する。

自助努力の精神のもと、個人の能力や可能性を発揮できることが、国民の幸せにつながり、国家繁栄の基盤となる。これは幸福実現党が2009年の立党時から訴え続けてきたことでもある。

政治家に求められていることは、最大幸福社会の実現と、国民に自由を与え、多様な選択肢を提供することだ。国民が大きな夢を描けるように、国家の方針を提示し、大きなビジョンを打ち出さなければならない。(冨)

【関連サイト】

民主党 TVCM 女性の味方編

https://www.youtube.com/watch?v=-ZegL8KOtTM

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